日本代表・Jリーグ日本代表・Jリーグ

19/12/13[それぞれのホーム最終戦 浦和]苦しい空気を変えた、二人の功労者

 底冷えのするスタジアム。目前では、2-3で敗戦という現実。セレモニー時の立花洋一社長の挨拶では、大きなブーイングが鳴り止まなかった。勝点1差でなんとか残留という14位フィニッシュだ。試合直後の埼玉スタジアムは、浦和関係者にとって、重苦しい、やるせない思いに包まれていた。

 その空気を、この男たちが徐々に変えていく。

 選手がピッチを一周すると、今季限りでの契約満了が発表されていた森脇と岩舘に、スタンドのファン、サポーターから温かい言葉がかけられた。

 二人は、それに「ありがとう」を繰り返し、本当に何度も繰り返し、応じていった。

 素晴らしい人格者として、彼らはクラブでも際立つ存在だ。「あの森脇が?」と思うかもしれない。「5年半出場のなかった岩舘が?」といぶかしむかもしれない。

 でも、それが真実。普段の彼ら、その行いを見ていれば誰でもそうなる。

「サッカー選手の中で特に心から尊敬できる人はモリくん(森脇)」

 SNS上で何度も彼をイジってきた後輩の岩波がそう語るのだ。裏表がない。誰にでも、あのテンションで、あの口調で接する。練習中によくない雰囲気になっても、森脇は常にポジティブな声がけで周りを盛り上げていた。レギュラーポジションを外されていたときでも、変わらずに。

 森脇に比べれば、岩舘は、一歩引いた存在かもしれない。でも、彼の努力を皆が知っている。「毎日、練習前から体を作って、誰よりも一番遅く残っている」(宇賀神)。岩舘は「一番ヘタくそな選手が一番練習するのは当然」と、それを当たり前のように語るが、それを5年半続けていた。たとえ試合に絡めなくとも。「浦和がよくなる姿をダテちゃん(岩舘)に見せたい」。残された「一番関係が深いチームメート」である関根は、そう決意している。

 二人の人柄に、スタジアムの雰囲気が和らげられていく。森脇はお決まりの“カップリフト”とサポーターからのブーイングを受けた。それを、いくつもの花束を抱えた岩舘がいつもの柔和な目で見つめていた。

Copyright (c) Jupiter Telecommunications Co., Ltd. All Rights Reserved.