日本代表・Jリーグ日本代表・Jリーグ

20/01/13【Jリーグ】帰ってきた水沼宏太。トリコロールに包まれて

(写真:岩田陽一)

 11年のシーズンを終えると失意のどん底で横浜FMとの契約を終えた。U-16代表ではAFCから「ファンタスティック4 」と称された中盤の一角を担い、U-17W杯にも出場。クラブのレジェンドである水沼貴史氏の息子であることも相まって注目を集めながらトップチームに昇格した。しかし思うように出場機会を得られず、栃木への1年半の期限付き移籍を経て、横浜FMを去った。「二度とマリノスになんていくか」。特にC大阪時代、天皇杯を含めて横浜FM戦6試合4得点という古巣への強さは、その反骨心も原動力になっていたのかもしれない。

 しかし8年後、古巣からオファーが届いた。恨みにも似た気持ちは消えたり、気づけば「うれしい」と思っていた。復帰を決めて迎えた始動日。8年前とは選手が違う。スタッフも違う。練習場も違う。

「新しいチームに来た」というのが最初の感想だった。しかし中学時代から慣れ親しんだエンブレムがついたシャツを着ると、違う感情が湧き上がってきた。「本当に帰ってきたんだ。昔、憧れていたチームのユニフォームはやっぱりマリノスだった」。

 恨みにも似た感情はいわば、愛情の反動だったのだろう。その愛情を思い出したいま、水沼は横浜FMのために全力でプレーすることしか考えていない。かつては出場することもままならなかった。公式戦で1点も取れなかった。しかし「いまは違うぞ」という気持ちが強い。あらゆるポジションでプレーできるだけに、勝負したいポジションも「イメージするのはやってみてから」。それでも「マリノスの一員として点を取っているイメージはできている」。

 自分の過去を払しょくできるのは自分しかいない。その強い決意と憧れたエンブレムを胸に、『横浜FMの水沼宏太』としての活躍を期す。

文・菊地正典

Copyright (c) Jupiter Telecommunications Co., Ltd. All Rights Reserved.