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19/10/25【天皇杯】4強へ導いた“我慢”。土居聖真が下した英断

(写真:Getty Images)

 23日に行われた天皇杯準々決勝、鹿島はJFLのホンダFCに1-0の勝利。辛勝ではあったが、ベスト4に駒を進めた。

 苦しい試合だった。主力にケガ人が多く、ベンチ外だったフィールドプレーヤーはたったの3人。負傷明けの三竿と登録外の上田を除けば実質的には1人というチーム事情だった。さらに、ここ5試合で奪えたのは4ゴールだけ。チームの状況は今季の中でも最も底辺に位置していた。

 そこで迎えた絶好調のホンダFC。土居はジレンマを抱えつつ、じっと好機を待ち続けていた。

「僕が下がらないとボールは回らない。でも、前にいないと点は取れない」

 実は、先のJ1前節・松本戦で土居はボランチの位置まで下がってビルドアップに参加していた。ボールを前に進ませることはできたが、ゴール前を崩すまでには至らず決定機を作り出すことはできなかった。

 試合前日、やるべきことを自分に言い聞かせる。「シュート100本打たれても決められなければいい。シュート1本打ってそれで勝てるならそっちの結果の方が欲しい。いまは内容がどうとか関係ない。リーグで言えば勝点が必要だし、天皇杯で言えば次に進むことが一番大事なので、そこを求めてやれれば」

 チャンスがきたときに集中力を研ぎ澄ます。それは昨年のクラブW杯で突きつけられた世界との差でもあった。レアル・マドリー戦、先にチャンスを作ったのは鹿島だったがそこで決められず、逆に白い巨人はそこを逃さなかった。

「内容とか言ってもしょうがない。どうせ勝てば忘れるし、勝てば問題ないんで」

 ミスをすると天を仰ぐ選手が多い中、ゴールだけを見ていた土居。唯一残った主力が鹿島を導いた。

文・田中 滋

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