メキシコ・その他

19/07/10
【コパ・アメリカ】コパ・アメリカ体験記。別世界だった“その後”

(写真:Getty Images)

 日本のコパ・アメリカは6月24日に終幕したが、筆者は7月7日の決勝まで残って大会を見届けた。3試合を終えた日本の選手たちが口々に「ブラジルとやりたかった」と語ったように“完全アウェー”でブラジルと対戦する経験はどういう結果になるにしても素晴らしいものになっただろう。

 ただ、現地で感じたのはグループステージと決勝ラウンドは別物ということだ。グループステージの段階では全体的に閑散としており、W杯にみられるような会場をあげてのお祭り感はほとんどなかった。

 それが変わってきたのは、準々決勝に入ってから。チリvsコロンビアを観戦したが、14年ブラジルW杯の会場にもなったサンパウロのアレナ・コリンチャンスに直行する電車はぎゅうぎゅう詰めで、コロンビア人とチリ人が入り乱れてチャントを歌い合い、到着まで熱気で息苦しかった。ほぼ埋め尽くされたスタジアムで、試合はスタートから削り合いのような迫力。ハイレベルな技術を駆使しつつも、さながら強度を競い合うように進行していき、スコアレスのまま突入したPK戦の末にチリが勝ち進んだ。グループステージ初戦の日本戦でもチリは手を抜いていたわけではないはずだが、この試合のチリには相手の様子を探る気配がまったくなく、あのときと同じ相手の、同じ選手とは思えないプレーの強度でぶつかり合っていた。

 準決勝のブラジルvsアルゼンチンは南米の盟主を争ってきた“代表のクラシコ”とも言える対戦で、日本vsエクアドルと同じベロオリゾンチのミネイロンとは思えない熱気に包まれていた。チリvsコロンビアが強度のぶつかり合いなら、ブラジルvsアルゼンチンはプライドのぶつかり合いだった。

 今大会はVARがコパに導入されて最初の大会であり、現地ではその是非がかなり議論されていたし、ブラジル戦の会場にゲストで現れたボルソナーロ大統領が容赦ないブーイングを浴びるといったトピックスもあったが、“本当のコパは準々決勝から”ということは今大会に限らない特色だろう。そうしたことはW杯でもよく言われるが、同じブラジルで行われた14年のW杯と比べても、その差はハッキリとしていた。

 今回の日本の参加が若い選手たちにとって大きな経験になったことは間違いないし、それを今後に生かしていくことに期待したいと思っている。ただその一方で、日本にまた参加できるチャンスがあるのならば、さらにいい準備で大会に入り、少なくともグループステージを突破して“本当のコパ”を体感してもらいたい、そこまでいってほしい。そう強く感じたブラジルでの24日間だった。

文・河治 良幸

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