日本代表・Jリーグ日本代表・Jリーグ

19/07/08【Jリーグ】トリコロールの10番がベルギーへ。「見たことない世界に飛び込みたい」

(写真:Getty Images)

 苦渋の決断だった。考え過ぎて腹を下すほど、悩み抜いた。横浜FMでタイトルを獲りたいという気持ちに変わりはない。それでも少しずつ、海外への思いは膨らんでいった。

 天野純の練習でのプレーが明らかに変わったのは0-3で完敗した第11節・C大阪のあとだった。ボールをもつたびに自分で仕掛け、シュートを打つ。パサーらしからぬ鬼気迫るプレーには怒りもにじんでいた。

「ムカつくんですよ、自分に。なんであんなプレーしかできないんだって。去年は10試合あれば2、3試合はある程度は満足できた。でも今年は11試合やってそれが1試合もない」。相棒が攻撃的な三好になった影響もあり、天野はバランサーを担った。そのぶん、ゴールからは遠ざかった。「そういうプレーは30歳を過ぎてからもできると思う。いまこんなプレーをしていたら俺はこのまま終わる」。

 その“停滞感”を打破するために海外への挑戦を決断した。ベルギーリーグの八百長問題で不透明とはいえ、ロケレンは2部に降格したチーム。レベルを疑問視する声もあるが、それは天野にとって大きな問題ではない。日本代表で海外組から感じた自信と余裕。それは「Jリーグのレベルがどうこうではなくて、海外にいかないと分からないことだと痛感した」。その「見たことない世界に飛び込みたい」一心だった。

 試合後の挨拶は「それでは、ベルギーにいってきまーす」と軽い口調で締めた。その後、ゴール裏にいっては「またしゃべるっていう」と笑った。おおよそ海外移籍前ラストマッチとは思えない緩い雰囲気だったが、それも純粋でちょっと“天然”な天野らしい。そう、天野らしく。その左足で未来を変えろ。ベルギーに虹をかけろ。その虹はきっと、横浜からも見えるはずだから。

文・菊地 正典

Copyright (c) Jupiter Telecommunications Co., Ltd. All Rights Reserved.