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19/04/10【ラ・リーガ】繊細なモダンアートか、銭湯の富士山か。対照的スタイルが激突するセビージャダービー

(写真:Getty Images)

 サッカー観が対照的なセビージャダービーになる。

 モダンなサッカーを拒否するホアキン・カパロス監督に率いられるセビージャのスタイルは、前節バジャドリー戦(2-0で勝利)に象徴される。守備は堅い(これでカパロス就任以降4試合1失点)が、なかなか点が入らなくてイライラする。引き分け目前の84分ロケ・メサが3人抜きでシュートを決め、ロスタイムにムニールが駄目を押した。

 中央を守備的なMF(ゴナロンズやアマドゥ)で固め、守備時にはボールの後ろに少なくとも10人は割き、攻撃はサイドからのセンタリングがメイン。まずは無失点を目指して、点が欲しい終盤にアタッカー(ブライアン、ロケ・メサ)を投入する。それでも、前節はダブルボランチをバネガとゴナロンズで構成したから、カパロスにしては攻撃的な方である。見ていて意外性や野心に欠け面白くないが、最悪でも引き分けは狙える。

 対して、キーケ・セティエン監督が率いるベティスは提案するサッカー、主導権を握るサッカー、リアクションのセビージャと違ってアクションのサッカーである。GKから意地でもボールを繋ぎ、ボールロストから即失点の危機が常にある。リスクを負い挑戦する姿勢は美しい。だが、ドキドキのし過ぎで心臓に悪い。

 典型的なのが前節ビジャレアル戦(2-1で勝利)。後ろから果敢に繋いでプレスをかわすと、前方には大きなスペースが広がる。そこをグアルダード、カナーレスが突き、ロ・セルソが決めて先制。が、その2分後にCKから相手をフリーにし同点に追いつかれる。体のぶつけ合いでほぼ全敗し見るからに危なっかしい空中戦の守備は、まったく向上していない。これは攻撃時のCKでシュートに持ち込めないことを含めて、明らかに監督の責任である。CBのバルトラ、マンディは足下は巧みだが、高さと強さはない。それでもマイボール時には問題がないのだが、単純に放り込まれただけでピンチになる。時間をかけて丁寧に繋いで相手ゴールを脅かし、ポーンとロングボールを蹴り込まれて味方ゴールが脅かされる、という展開である。連続攻撃を仕掛けロ・セルソの2点目で勝ち越すも、相手のパワープレーに耐え切れず終了間際にPKを献上。相手がこれを外してくれたおかげでやっと勝った、という感じだ。

 昨季ベティスは敵地で勝利しているのだが、今週末はホームチーム、セビージャの優位は動かない。あの時はサッカーのクオリティに差があったからベティス優位だと思っていたのだが、今回は違う。

 フィジカルなセビージャとフィジカルでないベティスでは、組み合わせがベティスに悪い。しかもカナーレスがケガで出場できるかわからない。ジュニオールがケガから復帰し新戦力エメルソンに目途が立って左右のサイドは層が厚くなった。テージョとヘセのドリブルも鋭くなってきた。だが、テクニックと運動量を兼ね備えなければならないインサイドMFがグアルダード、カナーレス、ホアキンと、守備を苦手とするタイプだけなのが気になる。カナーレスが欠場の場合はホアキンが先発だろうが、フル出場は無理。バックアッパーのカプトゥーム、ライネスはともに若く経験不足で不安が残る。そして、疲れが見えるバルトラとマンディは代えがいない。
 セビージャは前節左右SBエスクデーロ、ヘスス・ナバスが出場停止で休養でき、ウインガー、プロミスの左SB起用も目途が立った。バネガ、ゴナロンズのボランチは固定だろうが、左MFでは2試合連続ゴールのロケ・メサが先発しそう。2トップ、ベン・イエデルの相棒が初ゴールを決めたムニールになるか、レギュラーのアンドレ・シウバになるかは蓋を開けてみないとわからない。控えには注目の18歳、ボールが持てドリブルで打開できパス能力も高い万能の攻撃的MFブライアンがいる。いずれにしても、プレースタイルは同じでも顔ぶれは前節よりも攻撃的になるだろう。

 セティエン美術館所蔵の繊細な芸術作品よりもカパロスの大衆芸術、銭湯の富士山の方が美しい、という結果になりそうである。

文・木村 浩嗣

スペイン・ラ・リーガの生放送予定

リーガエスパニョーラ第32節

・エスパニョール vs アラベス
 4月13日(土) 夜7:55〜(生中継 WOWOWライブ
・ウエスカ vs バルセロナ
 4月13日(土) 夜11:00〜(生中継 WOWOWライブ
・アトレティコ・マドリード vs セルタ
 4月13日(土) 深夜1:20〜(生中継 WOWOWライブ
・セビージャ vs ベティス
 4月13日(土) 深夜3:35〜(生中継 WOWOWライブ
・レガネス vs レアル・マドリード
 4月15日(月) 深夜3:45〜(生中継 WOWOWライブ

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