2018 FIFAワールドカップ ロシア

18/07/18【ワールドカップ ロシア大会総括】プランAだけでなくプランBも。相手の対応を上回る策の必要性

(写真:Getty Images)

 カウンターとセットプレーからの得点が目立った大会だった。

 優勝を飾ったフランスはボールをもつ時間は作りながらも、その二つが得点パターンになっていた。守備は基本的に高い位置からプレッシャーをかけるが、一度リードすれば、引き気味にブロックを組んで相手にスペースを与えず、ボールを奪ったところからカウンターで相手陣内のスペースを使って深い位置までボールを運ぶ。終盤には[4-5-1]に変更して中盤を厚くするオプションをもつが、それまでは[4-4-2]をベースに[4-1-4-1]あるいは5バック気味にするなど、同じメンバーのまま臨機応変にゲームをコントロールしていける。一つのストロングポイントに特化するのではなく、攻守のバランスがよく、しかもムバッペやグリーズマン、ポグバなど一つひとつの個が強いため、局面でデュエルの優位性を生かすことができる。芸術的ではないがハイブリッドなサッカーで7試合を戦い抜いた。

 準優勝のクロアチアは[4-2-3-1]と[4-1-4-1]を使い分け、MVPを受賞したモドリッチを軸にショートパスとサイドチェンジを織り交ぜる創造性が目を引いた。大会で最も攻撃的なチームと賞賛された3位のベルギーにしてもポゼッションからの崩しと鮮やかなカウンターを臨機応変に使い分けており、フェライニを投入すれば、クロスから飛び込むパワープレー気味のスタイルに変更できる。一つのスタイルを突き詰めるだけでは上位進出は難しい傾向を示している。

 その中で5レーン(ピッチをセンター、両側のアウトサイド、ハーフスペースの5つに分け、攻守にバランスよく選手を配置する)のポジショナルプレーをベースにするチームが増えており、ベルギーとイングランド、前回王者のドイツは典型的なポジショナルプレーの
チームだった。そのメリットは自分たちから主導権を握ってゲームを進められることだが、メキシコ戦ではポジショナルプレーを逆手にとったカウンターの前に0-1で敗れ、韓国にも似た戦い方で敗れたドイツは早々に大会を去った。

 そうした教訓もあってかイングランドは全体的にワイドな布陣を敷きながらも、カウンターを受けないようにバランスを意識した。ただ、ゲーム運びが安定したぶん、流れの中からの得点力は限定的になった。

 ここ数年で欧州に流行したポジショナルプレーも万能ではなく、ドイツのように洗練化するほど相手に研究されやすい。そうした傾向の中で、いかに使い分け、バランスを考えて戦い方を採用していくかが問われている。ただし、最初から使い分けを意識するとチームの方向性を見いだしにくいため、今後はプランAを高めながら、いかにプランB、プランCを用意していくかが問われていきそうだ。

文・河治 良幸

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