2018 FIFAワールドカップ ロシア

18/07/02【日本代表】いざラウンド16・ベルギ―戦。8年前の悔しさは「ビッグアドバンテージ」

(写真:Getty Images)

 怒っていたわけではない。原口元気は至って冷静な口調だった。ただ、その主張の中身は、とても強く訴えかけるものだった。

「ポーランド戦の最後の戦い方ですか…言いたい人はね、言いたいと思うんですけど。正直な話、勝負の世界で生きていて、本当に国を背負って真剣勝負している人だったら、僕らの気持ちは分かると思う。きっと批判している人は、本当にギリギリの戦いをしたことがない人なのかなと。僕は恥ずべきことではないと思う。(グループステージを)突破したことに、誇りを感じている」

 メッシも、クリスティアーノ・ロナウドも大会から姿を消した。いずれもベスト16の舞台で、散った。決勝トーナメントからの戦いがどれだけ厳しく、また尊いものなのか。シビアな勝敗劇がそれを証明し、そしていま、日本は欧州・中南米以外の国で唯一、そこに立っている。

 過去に二度、同じ景色を見ている。02年の日韓大会は雨の宮城の戦いでトルコに惜敗し、10年の南アフリカ大会はパラグアイとの接戦の末、PKにより敗北。越えられそうで越えられない、16強の壁。いまの日本代表にも名を連ねる長谷部誠、長友佑都、川島永嗣、岡崎慎司、そして本田圭佑は、8年前にこの緊張感を味わい、敗れた。

 彼らには、14年のブラジルW杯で喫した痛恨の惨敗劇も、傷として残る。「あの悔しい思いをして、この4年間、どれだけロシアW杯に懸けてきたか」。今大会、常に頼もしく骨太な言葉を残している長友が語気を強める。

 そんな選手たちが、今大会それぞれ意地を見せている。

 大会中にミスを繰り返したがポーランド戦で挽回した川島、主将として心身ともにチームを支える長谷部、ケガを抱えながら懸命に走る岡崎、毎試合頭が下がるほどに献身性あふれる長友。そして、ジョーカー役として割り切り、ゴールにアシストに結果を出す本田。ミーティングでは率先して声を出し、若手を巻き込み、プレーでも要所で存在感を示す。「(過去のベスト16とは)精神的なところで明らかに違う。10年を経験している選手がまだ何人もいることは、ビッグアドバンテージであることは間違いない」(本田)

 ベテランに導かれながら、W杯を初めて戦う選手たちの意識が変わる。冒頭の原口の言葉は、その最たる表れだ。ベスト16のステージに到達することがどれだけ難しいことなのか、W杯で勝ち抜くことがいかに困難なのか。それを、先輩の選手たちの真剣な眼差しから鋭く察し、だからこそポーランド戦の終わり方とて勝負の現実として受け入れられるのである。「今まで日本がここで敗れているという事実。次、いつこのチャンスがくるかも分からない。本当に勝つだけ。いい試合で終わるのではなく、そこから一歩先に進める試合にしたい」

 原口が込めた思い。初出場の彼にも、この戦いがどれだけ大切かは分かっている。それも頭だけではなく、肌身で―。 迎えるベルギー戦。日本の選手たちの熱が、ほとばしる。

文・西川 結城

Copyright (c) Jupiter Telecommunications Co., Ltd. All Rights Reserved.