2018 FIFAワールドカップ ロシア

18/06/09【W杯注目選手 #21】バラン&ウムティティ。最強CBコンビを擁するトリコロール

(写真:Getty Images)

 今大会、最強のCBコンビを擁するチームはと聞かれれば迷わずフランスと答える。CBは最も世代交代の進んでいないポジションだろう。ペペ、コンパニ、オタメンディ、シウバ、セルヒオ・ラモス……とかつて世界ナンバー1と呼ばれた選手はみな30歳を超えた。いずれも優勝候補の一角を占めるチームでまだ先発を張っており、駆け引きや先見性など経験が生きる息の長いポジションではあるが、体力の衰えはやはり隠せない。そんな中、ウムティティ24歳とバラン25歳のコンビは、フランスの勢いを象徴している。

 2人の特徴は似通っている。高くてスピードがあり体の入れ方がうまい。ハイボールを跳ね返しイーブンボールに先に追いついてアタッカーに仕事をさせない。反面、弱みは1対1対応。まあ、そもそもボールを持たれて正対された時点で守備組織の負けでありDF個人に責任はないのだが、スピード勝負ではなくフェイントを掛けられると脆さが出やすい。足の長さと重心の高さが災いしてしまう格好だ。

 両者に勝ち負けを付けると、移籍の噂が出た後半戦ミスを連発したウムティティではなく、1年中安定していたバランに軍配が上がる。特にCLファイナルは素晴らしかった。マネ、サラーとのスピード勝負で互角に近い戦いをし、カバーリングで何度もピンチを救った。相棒のセルヒオ・ラモスが何かと話題になった試合だが、陰のMVPはバランの方だった。191cm、78kgと細身(ちなみにセルヒオ・ラモスは183cm、75kg)でぶつかり合いよりもプレーの先を読みボールを渡さないプレーを得意とする。リーガエスパニョーラ27試合出場でイエローカード2枚(ちなみにセルヒオ・ラモスは7枚)というのは、セルヒオ・ラモスが当たり役でバランがカバー役という役割分担のせいでもあるだが、それでも驚異的であることは変わりない。目立たず冷静沈着にエレガントかつクリーンにボールを処理、アタッカーを干してしまうのだ。

 中盤にフィジカルに強い選手、ポグバ、カンテ、マテュイディを集めた代表では得意なカバーリングに専念できるため、持ち味が生きるはず。加えて、デシャン監督の守備にバランスを置いた布陣と戦い方、CF(ジルー)に決め手がないことを考慮すると、バランが脚光を浴びやすい試合運びになるだろうと思う。もし、下馬評通りフランスがベスト4以上の成績を残すとしたら、バランとウムティティの中から新たな世界ナンバー1CBが生まれることは間違いない。

文・木村 浩嗣

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