2018 FIFAワールドカップ ロシア

18/06/05【W杯注目選手 #20】アルゼンチン32年ぶり優勝のカギをにぎる技巧派MFバネガ

(写真:Getty Images)

 メッシがアルゼンチン代表で機能しない、と言われる。まるで彼の責任かのように。違う。周りが世界一の選手を使い切れていないのだ。メッシが活躍できる条件は①攻撃に専念できること、②ボールタッチが多いポジションであること、③運動量を要求されないことであり、どうやらセカンドトップあるいはトップ下でポジションは決まりのようだ。ではどうやって①~③の条件をお膳立てするか?

 サンパオリ監督も苦労している。もともと対戦相手によっても試合展開によってもシステムをころころ変える監督だが、代表でも何とかメッシを生かそうと何度も変えており、地元の代表番でさえもスタメン11人の並びと顔ぶれを特定できないほどだ。[4-2-3-1]、[3-3-3-1]、[2-3-3-2]……。
そんな中、技巧派MFバネガの定位置も決まっていない。DFラインの前のアンカーなのか、2ボランチの1人なのか、トップ下なのか……。この疑問、実は彼を擁する監督の永遠の課題である。アンカーを任すには守備力がない、ボランチだとラストパスを供給する能力が生きず、ロングボールによる展開力不足が露呈する、トップ下としてはもう一つ攻撃力がない、特にシュート力と決定力は物足りない。所属のセビージャでは今季、強豪相手にはトップ下(背後を守備的ボランチ2枚でカバー)、格下相手には2ボランチの1人(相棒は必ず守備的ボランチ)として使われてきた。体力的にも技に依存するプレースタイル的にもコンスタントさに欠ける選手で致命的なボールロストもするが、調子の良い時は本当に素晴らしく“タンギート”というあだ名通りタンゴを舞うようにプレーし、ショートパスを散らして試合のリズムを刻み、決定的なスルーパスを出して攻撃のタクトを振るう。

 代表ではFWのメッシ、MFのバネガがテクニック面ではずば抜けており、両者の息が合わないわけがないと思うが、アグエロやイグアイン、ディ・マリアらと共存させるとなると、守りが不安というサンパオリの懸念はよく理解できる。はまったら100%の力を出すがはまらなかったら消えてしまうという使いにくさもよく分かる。メッシとバネガを生かす方法が見つかったならば、32年ぶりの優勝も夢ではないのだが。

文・木村 浩嗣

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