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18/05/02【W杯注目選手 #13】今週末は”イニエスタのクラシコ”。そしてロシアW杯へ

(写真:Getty Images) 

 メッシとロナウドの名を挙げるまでもなく、バルセロナとレアル・マドリーの対戦となれば、要注目の代表選手がたくさんいる。だが、今回のクラシコはもう“イニエスタのクラシコ”で良いだろう。彼のラストクラシコを見ながらロシアW杯に想いを馳せるのだ。

 去る4月27日、イニエスタは22年間所属したバルセロナに別れを告げることを発表した。トップチーム在籍16年、12歳で下部組織入りした彼も34歳になる寸前。「要求されるレベルに到達することができなくなった」が理由だった。チームがリーグ優勝、コパ・デルレイ優勝の2冠を達成したシーズンだったこと、この夏にロシアW杯が待っていることを考えると、ベストのタイミングでの決断だったと思う。

 ロシアでイニエスタはスペイン代表の全試合で先発出場するはずだ。南アフリカW杯で優勝を決めるゴールを挙げた功労者で、スペイン中どこへ行っても拍手される存在ではあるが、温情によって与えられたのではなく、実力で勝ち取ったレギュラーの座である。ネイマールがいた昨季まではメッシ、ルイス・スアレスとの3トップの存在感が強過ぎ、バルセロナのサッカーの主役だった中盤が脇役化していた。起点から崩し、アシスト、フィニッシュまで攻撃がすべて3人で完結し、イニエスタら中盤の選手は守備面でのカバー役、サポート役に徹することが多くなっていた。それが昨夏ネイマールが去ったことで状況が一変。ゲームメイカーとしての重要性が増した中盤で、再びイニエスタに攻撃のタクトを振る役が与えられるようになった。

 お世話になったクラブでの最後のシーズンで、引退を決めた代表でもW杯が控えている。そんなタイミングで“花道”と呼べるような舞台を与えられて発奮しない選手はいないだろう。イニエスタはここ数年で最高のシーズンを過ごし、魔法復活を見たロペテギ代表監督は彼と心中する覚悟をしたということだ。

 ポジションはバルセロナでは[4-4-2]または[4-1-3-2]の2列目左、代表では[4-1-4-1]のいずれも2列目左から2番目。役割はともにボールキープと状況打開、そしてアシスト。打開する際の典型的なプレーが「氷の上を滑るようにかわす」と形容される独特のドリブルである。スピードがないのに相手の重心移動の逆を突き、スイスイとスケートするように抜いていく。重心を掛けた足側にボールを動かされた相手は金縛りにあったように動けず見守るしかない、という技である。加えて、背筋を伸ばした姿勢からのスピードとタイミングがどんピシャリのスルーパスにも息を呑まされる。

 が、その反面、南アフリカW杯決勝やチェルシー戦(08-09CL準決勝第2レグ)ロスタイムのミドルシュートで記憶されながらも、実はシュートが苦手というのも面白い。超絶技巧の持ち主なのに彼のシュートはしばしば枠にさえ飛ばないのだ。ゴール前のキラーとなるにはイニエスタは優し過ぎたのかもしれない。エゴの塊のような選手がほとんどの世界で彼は真逆の控えめでどこにでもいそうな青年なのだ。カリスマははっきり言ってない。だけど、敵味方問わず、否、サッカーを知らない人からも愛された。

 今週末、最大のライバルを迎えたカンプノウで、バルセロナのバルベルデ監督は、イニエスタに相応しい花道をちゃんと用意してくれるはずだ。

文・木村 浩嗣

ロシアW杯関連生放送予定※時間はキックオフ時間

グループB 第1戦

・モロッコ vs イラン
 6月15日(金) 深夜0:00〜(生中継 NHK総合)
・ポルトガル vs スペイン
 6月15日(金) 深夜3:00〜(生中継 NHK総合)

グループB 第2戦

・ポルトガル vs モロッコ
 6月20日(水) 夜9:00〜(生中継 テレビ朝日)
・イラン vs スペイン
 6月20日(水) 深夜3:00〜(生中継 日本テレビ)

グループB 第3戦
・イラン vs ポルトガル
 6月25日(月) 深夜3:00〜(生中継 NHK総合)
・スペイン vs モロッコ
 6月25日(火) 深夜3:00〜(生中継 日本テレビ) 

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