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18/02/07森岡亮太。ベルギーの名門アンデルレヒトで10番を託された男

(写真:Getty Images)

 1月30日、アンデルレヒトへの完全移籍が発表された森岡亮太。ベフェレンでの約半年間で輝かしい成績を残すとステップアップを果たした。だが、変革期にある名門が求めるのは絶対的な結果。10番を託された男の“挑戦”である。

現実は想定をはるかに越える

 ロイヤル・スポルティング・クラブ・アンデルレヒト。通称RSCA。スペインの首都マドリードの名門がレアル・マドリーなら、ベルギーの首都ブリュッセルの名門がアンデルレヒトだ。

 森岡亮太の移籍について、ベルギーメディアの情報をベースに追うと、べフェレン加入時、18年夏以降は違約金150万ユーロ(約2億円)で移籍できるという条項が入っていたようだ。加入時の移籍金(30万ユーロ:約4千万円)から考えると決して安くないが、現実は想定をはるかに越えていった。森岡が半年間で残した数字は、公式戦9得点11アシスト。リーグ戦の得点+アシストは、1位がルート・フォルマーの23(クラブ・ブルージュ/9得点14アシスト)、2位が森岡である。

 こうなると違約金150万ユーロはバーゲン価格だ。18年夏に向け、森岡に興味を示していたクラブが列をなしていたという。べフェレンとしては、より高い移籍金を得ようとするならばこの冬しかない。他クラブとしては、森岡を確実に獲るならばこの冬しかない。両者の思惑が一致する形で、移籍市場最終段階で決まったのが、アンデルレヒト移籍だったわけだ。

 森岡獲得に支払った額は250万ユーロ~300万ユーロで、契約期間は3年半の完全移籍。「これが小さいクラブの運命だ」とべフェレンのディルク・ハイク会長は悲嘆のコメントをしているが、べフェレンはわずか半年で約2億円を得ている。

なぜ森岡なのか

 アンデルレヒトは変革期にある。月初、クラブにフィットしなかった10番のニコラエ・スタンチウを売却し、月末にはエースのソフィアン・ハンニのスパルタク・モスクワ移籍が決まった。「断ることができないオファーだった」とはハンニ。アタッカーニ人の移籍で枠が空き、選手獲得の最低限の資金を手にしたクラブは、新しいアタッカーを取らなければいけない状況になっていたのだ。

 今季前半戦、攻撃陣の主力は3人。昨季リーグ得点王のルーカス・テオドルチク、20歳のナイジェリア人ヘンリ・オニェクル、そして移籍したハンニだ。しかしテオドルチクはここまで4得点と不調、9得点と気を吐いていたオニェクルは、昨年12月の大けがで全治8カ月の長期離脱となってしまった。

 そのため森岡以外にもアタッカーの補強に動いていた。例えば、元アンデルレヒトのニューカッスルFWアレクサンダー・ミトロビッチは、最後まで期限付きでの獲得に動いていた。だが、話をまとめられず、フルアムに期限付き移籍。一方でサイドアタッカーのラザル・マルコビッチをリバプールから期限付きで獲得したが、コンディションが整っていないという。攻撃陣の複数補強が急務だった中、まともに獲得できたのは森岡だけだった。

 当然、出場が確約されているわけではない。エース格だったハンニはストライカーで、ゲームメーカーの森岡とはタイプが違う。それでもアタッカーの手駒は多くはない。テオドルチクの復調と新10番の森岡、10代の若手に期待する以外にないのが現状だ。

 アンデルレヒトは今季序盤につまづいた。昨年9月18日に昨季リーグ優勝に導いたレネ・ヴァイラー前監督を解任し、後任のヴァンハーゼブルック監督は、チーム作りを進めながら首位のクラブ・ブルージュを追いかけている最中だ。森岡としては早々に結果を出して監督の信頼を得る必要がある。W杯を見据えればリスクのある移籍ではあるが、ライバルには香川真司、井手口陽介など枚挙に暇がない。代表のセレクションに入ろうと思えば、ベルギーの名門で10番として無視できない活躍をするくらいのインパクトが必要ではあるだろう。

文:堀 秀年

森岡 亮太(もりおか・りょうた)

1991年4月12日生まれ、26歳。兵庫県出身。180cm/70kg。

久御山高→神戸→シロンスク・ヴロツワフ(ポーランド)→ベフェレン(ベルギー)を経て、1月30日、アンデルレヒトへの完全移籍が発表された。契約期間は3年半。J通算131試合出場17得点。ベフェレン通算27試合出場9得点。日本代表。国際Aマッチ4試合出場。

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