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17/10/23【Jリーグ コラム】鹿島撃破の横浜FM。大きな価値と意味を持つ今季ベストゲーム

(写真:Atsushi Tokumaru)

 レオ・シルバの強烈なミドルシュートを左手一本でセーブするなど、2失点しながらも勝利に大きく貢献したGK飯倉。しかし、ミックスゾーンでは誰よりも冷静にゲームを振り返った。

「10回戦ったら9回負けるような実力の差があったと思う」と首位チームの実力を認め、シュート数10本対21本という結果が示すとおりのゲーム内容にまったく満足していなかった。スリリングな展開の末の勝利とはいえ、パフォーマンスで上回っていたとは言い難い。ただ、その一方で「でも1回目が今日に来た」とつけ加えることも忘れなかった。

 失点はいずれもセットプレーからで、今後に向けて課題を残した。それでも流れの中では全員が体を張って守り、何とか耐え抜いた。オフェンスの選手であるマルティノスは「チーム全体でこれだけ守れたことは誇りに思う」とあえて守備について言及し、手ごたえを口にした。堅守には当てはまらない2失点だが、伝統である守備意識の高さは随所に感じられた。

 チーム事情が苦しいのは間違いない。主将であり、攻撃の核となる齋藤が大けがで長期離脱を余儀なくされ、チームのトップスコアラーであるウーゴ・ヴィエイラが負傷し、一時帰国した。右SBは金井と松原がともに負傷し、前節はサイドMFを本職とする遠藤が務め、今節は左利きの下平が起用されるスクランブル状態に。早い時間帯に2点をリードする幸運に恵まれても勝ち切れる保証などどこにもなく、むしろ予想どおり劣勢の時間を長く過ごした。

 だからこそ勝利には大きな価値と意味がある。総力を集結し、強い鹿島を倒した。チームで3番目の年長選手となった中町は「チームとしてやってきて良かったなと感じられる試合だった」と感慨深げ。今季から加入し、この試合では途中出場で守備を引き締めた扇原は「けが人が出た中でもこういう試合ができたことはチームとして自信になるし、チーム力を示せた」と力強く話した。

 中澤や中町、飯倉といった経験と実績を持つ選手がセンターラインを支え、育成組織出身の天野や喜田は試合出場を重ねることでたくましさを増した。新加入の山中や扇原は守備に軸足を置く横浜FMの戦い方を覚えた。外国籍選手がそれぞれの持ち味を発揮すれば、長らくけがに苦しんだ伊藤と下平が重要な役割を果たす。そして、最後にゲームを決めたのは19歳の遠藤だった。

 まさしくチーム全体でもぎ取った勝利だ。内容よりも価値と意味という点で、この鹿島戦は今季ベストゲームである。

文・藤井 雅彦

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