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16/10/04AFC・U-16選手権閉幕。世界への扉を開いた00ジャパンの足跡

惜しくも準決勝敗退となり帰国した際にインタビューを受けるMF久保建英

多くのタレントがそろうU-16代表

 今回のU-16日本代表は2000年1月1日生まれ以降の選手からなるチームのため、「00ジャパン」、「ニューミレニアムジャパン」などと形容されている。U-17W杯は2年に一度行われるため、アジア最終予選となるAFCU-16選手権も2年に一度開催されている。

 では、なぜ今回のU-16代表がここまで注目されるようになったのか。大きな要因は2020年東京五輪世代に入る年代であり、FCバルセロナの下部組織にも所属したMF久保建英がメンバーに名を連ねている点にある。

 だが、「このチームは『久保、久保』言われていますけど、他にも良い選手は沢山いる」と森山佳郎監督が語るように、東京五輪、そしてカタール以降のW杯に絡んできそうな選手がずらりと顔を揃える。

 今大会の彼らの戦いぶりはそれを実証するものだった。初戦のベトナム戦。A代表も苦戦した重要な初戦で、チームの攻撃陣が大爆発。精度の高い左足を持つ久保の直接FKがオープニングゴールとなり、そこから一気に大量7得点を奪った。この00ジャパンの最大の魅力は攻撃力にあり、FW選出されている久保、宮代大聖、中村敬斗、山田寛人、棚橋尭士は、いずれも個性的な選手。ずば抜けたボールコントロールと、ステップワークからパスとフィニッシュワーク全般をこなす久保。足下の技術に長け、前線でタメを作る宮代。チームナンバーワンのシュートエリアを誇る中村。180cmの高さを持ちながら、裏への飛び出しからのシュートが魅力の山田。どんなときでもゴールを狙い、質の高いオフ・ザ・ボールの動きからゴールを陥れる棚橋。そして彼らがどの組み合わせになってもスムーズな連携が出来るのは、平川怜と福岡慎平の不動のダブルボランチの存在が大きい。彼らの頭脳的なチャレンジ&カバーと、攻撃センスで中盤を活性化することで、前線のバリエーションある動きをゴールに着実に結びつける。

 ベトナム戦でいきなり自分達のストロングポイントを発揮すると、第2戦のキルギス戦でも同様に攻撃陣が爆発。第1戦で出番の無かった棚橋、出場したFWの中で唯一ゴールを奪えなかった中村が、「悔しかった。絶対に点を取ると心に決めていた」(棚橋)と、意地のゴールを奪い取った。特に棚橋はハットトリックを達成。2戦目にしてFW登録選手全員がゴールするという離れ業をやってのけた。

 第3戦のオーストラリア戦は、相手がすでに2敗でグループリーグ敗退が決まっていただけに、立ち上がりの悪さをFW上月壮一郎が突いて、開始4分で先制に成功する。その後は再三のチャンスを決めきれず、徐々に相手のリズムにしてしまったが、後半に入った54分に宮代が追加点を挙げると、そこからは三度攻撃陣が爆発。終わってみれば6−0の圧勝。グループリーグ3戦を21得点0失点の3連勝で飾り、1位通過を果たした。

 準々決勝の相手はUAE。今大会初となる中東勢との対決は、予想通り厳しい戦いとなったが、この一戦に臨む選手達の気迫はピークに達していた。

「前日練習から選手達が非常に高い集中力と緊張感を持ってやってくれて、『もうこれは負ける要素は無いな』と思う素晴らしい準備ができた」と、森山監督が振り返ったように、U-17W杯出場決定戦に向けた前日練習は降りしきる雨の中で行われたが、誰もが声と気迫溢れるプレーを披露し、サブメンバーも活発に声を出して、まさに一体感が漂っていた。

 そのテンションのまま試合に臨んだことで、日本は立ち上がりからチャンスを多く作り出し、30分にはこの試合7本目のCKを獲得すると、久保が蹴った右CKをGKがファンブル。これをCB瀬古歩夢が素早く詰めて、日本が先制点を奪った。

 このゴールは一見、相手のミスからのラッキーなゴールに見えるが、「相手のGKがクロスなどをこぼすことは、スカウティングで分かっていたし、しっかりと蹴ればこぼれると思った」と久保が語ると、「相手のGKの事前情報から、いつかは必ずこぼれて来ると思った」と瀬古が語り、偶発的なものではなく、狙ってトライし続けた結果のゴールであった。

 その後も決定機を作り続けた日本。74分にはカウンターから相手FWに決定的なシュートを放たれるが、この試合唯一の日本のピンチもGK谷晃生がスーパーセーブ。グループリーグ同様に相手をシャットアウトし、1−0の勝利を掴みとった。

「相手のシュート4本で、決定機が1回。勝つ確率がかなり高いサッカーが出来ました。『この一戦で君たちの将来が決まる』と僕らもだいぶ煽りましたし、『自分達の経験値が、一足飛び、二足飛びで成長出来るチャンスを掴め』という話をしていた。ただ、この一戦だけで決まると言うのは、外から見ているだけじゃ分からない。中に居る人間の何とも言えない緊張感を経験して、彼らはそれを乗り越えてみせた」(森山監督)。

 まさに全員の気迫と集中力で勝ち取った2大会ぶりのU-17W杯。この勝利でもう一年活動を延長することが出来た。

「森山監督ともっとサッカーがしたかったので、勝てて本当に嬉しい」(福岡)。

 熱血家でもあり、厳格な存在でもある森山監督のもと、チームは『戦う集団』へと変貌を遂げた。

 しかし、最後にそれが『まだまだ』であることを痛感させられる試合が残っていた。準決勝のイラク戦。日本はUAEとは全く質の違うカウンターに苦しめられ、今大会初となる失点を喫する。それでも山田の2ゴールで一度は逆転を下が、同点に追いつかれると、終盤に立て続けに失点をし、2−4で敗れた。

「イラクは決勝戦のような気持ちで臨んでいた」と森山監督が語ったように、W杯が決まったことで少しほっとした日本と、死にものぐるいで勝ちに来たイラクとの差が、そのままスコアに直結をした。

 収穫と課題。彼らは過酷なインドの地でその価値ある2つを掴み、持ち帰って来た。U-17W杯まで後1年。彼らが得たこの2つをどう活かして、ワンランクもツーランクも階段を上がった姿を再びインドの地で披露出来るか。少なくとも今大会は彼らの秘めた可能性の大きさを十分に示すことが出来ただけに、否が応でも期待は高まるだろう。

《文=安藤隆人》

日本代表関連生放送予定

2018 FIFA ワールドカップロシア アジア最終予選

・日本 vs イラク
 10月6日(木) 夜6:55〜夜9:50(生中継 NHK BS1、テレビ朝日系)
・サウジアラビア vs オーストラリア
 10月6日(木) 深夜2:25〜朝4:55(生中継 テレビ朝日)

2018 FIFA ワールドカップロシア 欧州予選

・イタリア vs スペイン
 10月6日(木) 深夜3:30〜朝5:45(生中継 日テレジータス)

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