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16/06/06【キリンカップ注目選手】イメージ共有に務める小林悠


ハリルホジッチ監督の期待に応えられるか(写真:Getty Images)

 

真のゴールゲッターになり得るか
 結果を残さないと動きを見てもらえない。

 キリンカップのブルガリア戦はバヒド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表が開始4分にFW岡崎慎司が幸先良くゴールを奪うと、前半のうちに4得点を加え、後半にミスから2失点したものの、3点を加えて7−2で大勝を飾った。MF本田圭佑を左膝裏の負傷で欠く中、4−2−3−1の右ウイングで先発したMF小林悠はMF香川真司による3点目をアシストする活躍を見せたが、パサーとのズレなど連係などで課題も見られた。

「僕はなるべく斜めに走って(酒井)宏樹のサイドのスペースをあけるようにしてたんですけど、そこは宏樹がうまく使えていたので、そこは良かった」と振り返る小林悠は先制点にいたる流れにおいて、オフ・ザ・ボールの動きでDF酒井宏樹の攻撃参加を促した。やや内側に絞ったポジショニングから、中盤でMF長谷部誠がボールを持った瞬間に斜めの動き出しを実行し、相手ディフェンスを引き付けることでサイドのスペースを広げたのだ。

 そこから酒井宏がサイドチェンジに追い付き、同サイドに寄せた香川、さらにMF柏木陽介とボールが渡ったところで、ディフェンスラインの手前に岡崎と並ぶ形になった。そこから相手のディフェンスを鮮やかなターンでかわした柏木が裏を狙って浮き球のパスを出した瞬間、小林は動きを止めた。

「岡ちゃん(岡崎)と被らない様にしようというのは試合前からしていて、あそこは岡ちゃんが入ったので僕は入らないようにしました」

 一連の流れで2つの見えない“アシスト”をした小林は守備でも相手SBミラノフの攻め上がりを牽制し、ときに全速力で下がりながらボールをカットするなど、ディフェンスでも献身的なプレーを見せた。「守備ではやらせないようにすごい意識はしていましたし、後ろから(酒井)宏樹がうまく声をかけてくれていた」と、小林は語る。

 指揮官が求める戦術的な動きをこなしながら、対戦経験がほとんどないという欧州の選手に対しても、体格の勝る相手に対しても怯むことなく挑み、局面の“デュエル”(=フランス語で決闘を意味する1対1や競り合いの強さ)で負けない部分も見せた。ただ、最も得意とする裏に飛び出す動きから自分に決定的なパスを呼び込むことができず、バイタルエリアからシュートに持ち込むこともできなかった。

 そしてゴールを奪えないまま59分にFW浅野拓磨と交替でピッチを退いた小林はライバルの浅野がドリブルでPKを獲得し、自ら決める形で得点を記録したこともあり、「(本田)圭佑くんが怪我してこういうチャンスが回ってきたんですけど、やっぱり目に見える結果がほしかった」と悔しさを表した。

「本当に悔しい気持ちもありますけど、そうやって競争して強くならないといけないと思います」

 今年3月のアフガニスタン戦で途中出場した小林は相手の危険なタックルで右足を打撲し、大事を取って途中離脱してしまった。そこから怪我なくJリーグの試合をこなせているというが、再び招集されたことには「本当に感謝しています」と語る。

「今回は離脱しないです(笑)」

 そう笑顔で力強く語った小林が明確な課題にあげるのが仲間とのビジョンの共有だ。この試合でも右サイド側のDF吉田麻也や長谷部がボールを持った瞬間に素早く動き出して縦パスを引き出そうとしたが、そこでタイミング良く縦パスが出てくることはなかった。「やっぱり僕の動き出しとかも、(周りが)まだ分かっていないところもある」と小林。長谷部らとも話し合っているが、まだ出し手と受け手のイメージ共有は十分に進んでいない様子だ。

 その意味でスタメン出場できたことはステップにつながるのは確かだが、タイプ的にもさらに試合を積み重ねる必要がある。また裏への飛び出しを得意とする小林はその特徴をしっかり発揮していくことを指揮官からも求められているが、「足下で受ける場面が少なすぎた。そこははっきり分かるところに落ちていちゃえば良かったかなと思います。監督からは裏を狙えと言われていたけど、ボールを触らないとリズムが出ない」と語る。

 場合によっては2トップの一角で起用するプランも示唆するハリルホジッチ監督。その指揮官も高く評価する川崎フロンターレで主力を担い、ゴールを積み重ねている小林に関して「フィニッシュをすることもフィニッシュさせることもできる。アイディアもあり、かなり面白い攻撃ができる」と選出理由を明かしたが、期待通りに代表戦で明確な結果を残していかなければ、ライバルに取って代わられる。代表チームがそういう場所であることは本人も強く自覚している。

「最終予選では1回か2回のチャンスで得点を取る選手を2人は見つけないといけない」

 そう語る指揮官が探す真のゴールゲッターの1人になれるかどうか。「結果を残さないと自分の動きを見てもらえないですし、練習中からゴールを決めることを意識してやるしかない」。7日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で再びチャンスをもらい、ゴールという結果を残す。そのための戦いはもう始まっている。

《文=河治良幸》

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