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16/05/01【セリエA】5連覇の立役者となったポール・ポグバ


中盤でいくつもの役割をこなすポグバ(写真:Getty Images)


ピルロに代わる存在感を示したポグバ
 正直、今季のユベントスから優勝したユベントスから立役者を一人挙げろというのは難しい。973分連続無失点という偉大な記録を打ち立てたGKジャンルイジ・ブッフォン、後方の守備陣をまとめたDFアンドレア・バルザーリとDFレオナルド・ボヌッチ、そしてパレルモからビッグクラブへのステップアップを果たした1年目で、見事にFWカルロス・テベスの穴を埋める存在感を見せたFWパウロ・ディバラ。世代交代、という注文を突きつけられながら、卓越したチームマネジメントで序盤の低迷を覆したマッシミリアーノ・アッレグリ監督も、その一人と数えられて当然の人材だろう。

 

 ただ、ここは新10番のMFポール・ポグバを挙げたい。シーズン当初は期待に応えられず地元ファンやメディアに叩かれもしたが、尻上がりに調子を上げてチームを堂々と引っ張った。8ゴール11アシストという数字は、攻撃を司るエースナンバーを背負う選手と見ても充分に及第点。しかも、ポジションはインサイドMFと、常にゴールに近い位置でプレーできるとは限らない位置にいるにも関わらずだ。実際この男の存在感は、ピッチで見ればこそ際立っていた。

 

 守備戦術のタスクに従い、攻められている時には下がって勤勉にプレスを掛ける。恵まれた体躯と、それに似付かない繊細なトラップで足元にボールを収めたら、そこから局面をガラリと変えていく。軽いタッチでマーカーを翻弄し、裏を取って置き去りにした後で正確なパス。2手先の展開を考えたショートパスに、2枚先を見抜くスルーパス。サイドチェンジも綺麗に決める。また相手に囲まれてパスコースを消された場合には、自らがドリブルでボールを運ぶ。軽いタッチで対面のマーカーを抜きながら、ストライドの大きなダッシュで相手の守備陣を置き去りにする。直接のアシストやゴールにつながらなくても、ポグバを経由した得点は多かった。退団したMFアンドレア・ピルロは、フリーキックと同時に局面を変えるゲームメイクの上でも重要な存在だった。スタイルやポジションの違いはあれど、ピッチでその存在を置き換えたのはポグバだとも言える。

 


フランス代表の一員として出場するEURO2016では、どのような輝きを放つか(写真:Getty Images)


1億ユーロの男が見せた昨季と違う姿
 もっとも、化け物ぶりは昨シーズンも見せてきたこと。今シーズンが異なるのは、序盤を除けばこういったプレーを波なく続けてきたことだ。戦術上サイドに張ることを要求されれば、その通りに動いて起点をつくる。また空中戦でも競り勝ち、相手のチャージをも跳ね飛ばして力強くボールをキープ。消耗を強いられるハードワークを涼しい顔でこなしながら、ワンプレーで華麗に局面を変えていく。ナポリを抜いて首位に立ってからはなお、ゴールやアシストが目立った。チームの勝利が求められる時に、自らの力でそれを引き寄せる。プレーそのものはシンプルで派手さに欠けるかもしれないが、外連味がなく常に効果的。存在感はまさに10番のそれだった。

 

 こうなれば次なる興味は、現在1億ユーロもの価値がつけられていると言われるポグバの行方がどうなるかだ。かりにEURO2016でフランス代表の主軸として大活躍することになれば、その価値は価値はさらに上がるだろう。「彼は市場に出していない。ポールは我々と続け違っている」とジュセッペ・マロッタGMは語り、「彼はユーベを愛している。特に魅力的な別のプロジェクトがない限りは残るだろうし、ユーベとは契約更新の話もしている」と代理人のミーノ・ライオラも言うが、落ち着いて夏を過ごすことはできるだろうか。いずれにせよ「僕は負けることが嫌い。勝てば幸せなのでそのために努力をする」と語った今シーズンのポグバが、勝利を追求するユーベになくてはならない存在であったことは確かだ。

《文=神尾光臣》

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