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15/12/12【クラブW杯】負傷者続出の初戦マッチレポート

大事な初戦を2-0で勝利したサンフレッチェ広島イレブン(写真:Getty Images)

過密日程の中迎えた初戦

 FIFAクラブワールドカップ2015がいよいよ幕を開けた。開幕カードとなる準々決勝進出プレーオフは、開催国代表のサンフレッチェ広島と、オセアニア代表のオークランド・シティFCが対戦する。2012年大会でも初戦で激突し、この時は青山敏弘のミドルシュートで広島が勝利している。試合開始前に雨が降り始め、あいにくのコンディションの中でキックオフを迎えた。

 広島はJリーグチャンピオンシップ決勝から中4日という日程を考慮し、佐藤寿人、ドウグラス、ミキッチといった従来の主力を温存してメンバーを大幅に変更。特に前線は、センターフォワードに皆川佑介、2シャドーには浅野琢磨と野津田岳人というフレッシュな顔触れを並べてこの試合に挑んだ。一方のオークランド・シティは、メンバーの大半がサッカー以外に職を持つセミプロ集団ながら、前回大会で3位に入る大躍進を見せたチーム。在籍4年目の日本人DF岩田卓也は左サイドバックで先発出場したが、キャプテンのイバン・ビセリッチがケガのためメンバー登録外となっており、精神的支柱を欠きながらの初戦となった。

 キックオフ直後はオークランド・シティが丁寧にボールを繋いでいたが、広島は強固な守備ブロックを形成して縦パスを入れさせず、高い位置でボールを奪うと素早くワイドに展開し、柏好文、清水航平の両ウイングバックが深い位置まで切れ込んでチャンスメークしていく。試合が動いたのは開始わずか9分だった。ショートコーナーから野津田が左足で強烈なミドルシュートを放つと、オークランド・シティのGKジェイコブ・スプーンリーは無回転ボールに対応しきれずファンブル。「岳人がシュートを打つ時は何かが起こると思っていた」とゴール前に詰めていた皆川がこぼれ球を押し込み、広島が先制に成功する。

次々と起こるアクシデント

 幸先よく先制し、主導権を握りたい広島だったが、この後、次々にアクシデントに見舞われる。11分、先制点を演出した野津田が中盤で岩田と競り合った際に右ひざを負傷し、柴崎晃誠との交代を余儀なくされてしまう。後半開始早々にはその柴崎がまたもや岩田と交錯して左ひざを負傷し、ドウグラスと交代。55分に浅野が相手のレイトタックルを食らった時は、森保一監督が思わず激高する一幕もあった。さらに広島の苦難は続き、60分には清水航平が右足首をひねってピッチの外へ。一旦は治療して戻ったが、状態は思わしくなく、65分に佐々木翔と交代する。広島は3枚の交代カードすべてをケガ人に費やすという非常事態に陥ることとなった。

 しかし、チームとしての実力は広島が一枚も二枚も上だった。試合後のスタッツによると、ボールポゼッション率は広島が33パーセント、オークランド・シティは67パーセントと後者が大きく上回っていたが、「ボールを回せたというより、回されていた、という感じだった」と試合後に岩田が語ったように、オークランド・シティは最終ラインでボールを回す場面が多く、縦パスを入れても広島の守備ブロックに難なく対応され、いい形でシュートを放つことができない。一方の広島は途中出場のドウグラスが味方とのワンツーを駆使した豪快な突破を見せたり、力強いボールキープから浅野にラストパスを供給したり、ゴール前に走り込んで打点の高いヘディングシュートを見せたりと、手数は少ないながらも効果的な攻撃を見せていく。

 そして60分、追加点はそのドウグラスを起点として生まれた。右サイドに開いてパスを受けたドウグラスが相手DF2人を引きつけて中央に折り返すと、走り込んだ塩谷司がゴールライン際までドリブルで持ち込み、グラウンダーのクロスを供給。「ミナ(皆川)を狙ったつもりだった」というボールは相手DFの足に当たってコースが変わり、GKの体の下をすり抜けてそのままゴールイン。リードを2点に広げた広島は、最後まで危なげない試合運びでオークランド・シティをシャットアウトし、20の勝利で準々決勝に駒を進めることとなった。

負傷後もすぐピッチに戻りプレーした岩田選手(写真:Getty Images)

 日本への凱旋で注目を集めた岩田は果敢に攻め上がってくる柏への対応に追われ、攻撃面では見せ場を作ることができなかった。85分には競り合った柏のひざが顔面を直撃してしまい流血。試合後に7針縫う大ケガだったものの、包帯で応急処置をしてすぐさまピッチに復帰し、「自分で満足のいくプレーができていなかったので、ケガは関係なくできる限り全力のプレーをしたいと思って」と包帯を巻いた頭でのヘディングを見せるなど、最後まで闘志溢れるプレーを見せた。

 初戦を勝ち抜いた広島は、準々決勝でアフリカ王者のTPマゼンベと対戦する。フィジカルの強い相手となり、負傷交代した3人について森保監督は「恐らく3人とも出られない」と欠場を示唆するなど厳しい戦いが予想される。それでも柏は「誰が出ても結果を残してきたチームなので、問題はない」と語り、準々決勝に向けて自信の表情を見せた。

《文=池田敏明

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