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15/12/02【週刊 長友佑都】議論を呼んだ大一番での退場劇


ナポリ戦に先発出場した長友(写真:Getty Images)

ナポリに敗れたインテル
 FWゴンザロ・イグアインの2ゴールに、終了間際にバーを2度叩いたインテルの猛攻。いろいろと熱かった首位対決のナポリ対インテルだったが、関係者は試合後にもヒートアップしていた。DF長友佑都に下された、2度のイエローカードをめぐってだ。36分、中盤のプレッシャーが薄いところでチャンスをつくろうとしたナポリFWホセ・マリア・カジェホンを倒し、プレーが続行された後で警告をもらう。45分にはレイトタックルでMFアランを削ってしまい、2度目の警告が出された。

 

「フェリペ・メロ、ムリージョと続いて今日は長友。誰か(主審)が目立とうとするから、被害を受けることになった。11人対11人であれば負けなかった」とはピエロ・アウジリオSD。さらにロベルト・マンチーニ監督は長友を擁護しつつ、舌鋒激しくダニエレ・オルサート主審を批判する。「ファウルにもならないようなタックルで、前半のうちにイエローを出されては影響が出る。審判にはもう少し注意をしてもらいたい。カジェホンのはシミュレーションだ。背中を手で触られただけのくせに、トラクターにでもはねられたように痛がっていた」。もっとも――立場としては半ば当然ながら――ナポリのマウリツィオ・サッリ監督は「カジェホンに対する長友のファウルはあった。マンチーニ監督は違うものを見ていたかもしれないが、私は近くから見ていた」と語っている。

 こういうとき、翌日の報道も盛り上がる。賛否両論はあるが、イタリアのメディアは「モビオラ」と称して判定の事後検証をやるのだ。そして地元紙の間で見解は分かれた。ガゼッタ・デッロ・スポルトは、「1枚目はスキャンダラスではないにせよ厳しすぎ。長友がプッシュした際にヒザは軽く背中に入っているものの攻撃は続いていた。しかも同じケースでファウルを取らなかったケースもあったから、長友のファウル判定は余計疑問視されることとなった」と報道。もっとも2枚目については「擁護はできない」としている。トゥットスポルトは2度目の警告の方を問題視し「故意のファウルとは考えられず、イエローはあまりに厳しすぎる」。コリエレ・デッロ・スポルトは「両方ともに妥当」とした。


議論の対象となった2度の警告(写真:Getty Images)


自重すべきだった2度目の警告場面
 微妙な1枚目のイエローはさておき、2度目に関してはさすがに自重すべきだっただろう。味方のミスでアランが抜け、強くいかなければ攻め込まれていたところだったが、先に警告を受けていることを意識していれば対応も変わったはず。これについてはマンチーニ監督も「一枚目をもらっていたのだから慎重に行くべきだった」と苦言を呈している。中盤が運動量で劣勢に立たされていたので、フォローにいかなければという気持ちもあったのかもしれないが、なおのこと慎重さが欲しかった。

 プレー自体は、できることはしていただけに残念だった。2分の失点シーンでは対面のカジェホンに仕事をされたが、DFジェイソン・ムリージョのミスパスを正面で拾われたことがすべて。その後、中央でパスを受け、ムリージョや長友も詰められない位置にボールを置いたイグアインも上手かった。その際に止めきれていないから長友は地元紙に批判されていたが、あの状況ではカバーに回っただけでも精一杯の対応だったように思う。ビルドアップでは追い込まれ、攻撃もカジェホンにカバーされあまり攻められなかったが、これは相手の激しいハイプレスを褒めるべきだ。

 引き締まったプレーで1カ月間スタメンを守り抜いたのち、長友は次節ジェノア戦で出場停止となる。彼がポジションを奪った時がそうであるように、今のインテルは全員に等しくチャンスがある。プレッシャーが薄くなった時間帯とはいえ、ナポリ戦の後半ではDFアレックス・テレスが正確な左足のつなぎとインターセプトでチームに貢献していた。右のDFダニーロ・ダンブロージオともども次のジェノア戦で活躍をすれば、長友は再び追う立場としてポジション争いに挑むことになるかもしれない。首位攻防戦では敗れたが、さいわい勝ち点差はまだ1つ。再び大一番で守備を任されるよう、長友には一層の安定感を身につけてほしい。

《文=神尾光臣》

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