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15/11/11【週刊 長友佑都】2戦連続の好プレーで失地回復

攻撃的なプレーで対面するブルーノ・ペレスを押し込んだ(写真=Getty Images)


ウイングバックで勝利に貢献

 大活躍のローマ戦に続くスタメン出場。FKを蹴っては決勝ゴールに絡み、さらに後半途中からはキャプテンマークも腕に巻くなど、トリノ戦でもDF長友佑都は派手に立ち回っていた。だがこの日の重要なことは、3-5-2のウイングバックとして前節とはまったく違うタスクをこなし、トリノの戦術上のキーマンを抑えたことにあった。

 以前コラムでも書かせていただいたが、ロベルト・マンチーニ監督は3バックをオプションとしてテストしていた。そしてホーム無敗のトリノと対戦するにあたり、「システムをミラーにした方が効果的」と、同じ3バックでかみ合わせることにしたのだ。前節の好パフォーマンスを受け右にはDFダニーロ・ダンブロージオを、そして左には長友を置く。そして長友にマッチアップをさせたのは、現在セリエAで最も強力なアウトサイドといわれるMFブルーノ・ペレスだった。持ち味は爆発的なドリブル突破で、昨年のトリノダービーでは80m近い距離を独走しシュートををねじ込んだ。

 ローマ戦に続き俊足アタッカー封じを命じられた長友だが、プレー面では全然違うものが求められた。カバーリングを意識し、深いポジションを取った前節とは異なり、今回は前からどんどんプレスを掛けていく。ボールを持ったブルーノ・ペレスに高いポジションを取らせず、後方へ押し下げるためだ。もちろん縦へのコースは徹底して切り、裏のスペースへの侵入は許さない。外から中への切り込みも得意な選手なので、逃げられたシーンも前半には2度ほどあった。しかしその場合も中央の組織守備で絡み取り、大きなピンチには至らなかった。長友の前進的な守備で、ブルーノ・ペレスのプレイが限定されていたことの証左でもある。

 もっとも同様のシステムを取るということは、対面のWBも守備では張り付いてくるということを意味する。したがって長友も攻撃に転じるのに手間取ったが、自ら蹴ったFKで先制点に絡んだ後は攻撃でも前に出るようになった。43分にはターンで相手を右に左に振り回し、ファウルを誘発する。前節はFWジェルビーニョの切り返しを封じた体のキレを、今度は攻撃面で発揮したというわけだ。



ブルーノ・ペレスをベンチ送りにした(写真=Getty Images)

好調の要因「ハードワーク」を体現

 主導権は掌握した。後半もインテンシティ(プレイ強度)を落とさずブルーノ・ペレスに喰らい付いた長友は、58分にはプレスから直接ボール奪取に成功する。さらに74分にはボール奪取から即座にドリブルへと転じ、相手は報復ファウルで止める。これで警告処分。長友には裏のスペースへの侵入まで許していたこともあり、ジャンピエロ・ベントゥーラ監督は2枚目のイエローカードを恐れてペレスを下げた。前節はスピード勝負で、そして今度はハードワークでマッチアップに勝利した。

 このハードワークという部分だが、これはインテル好調の要因にも通じる。11人が集中して個々のタスクをこなし、お互いがサポートし合う堅い守備には機能美がある。そして練習から不断の努力を続けた長友は、その中で遜色なく機能する存在となっていた。FKでサインプレーに参加し、点に絡んだことも考えてみれば象徴的である。マンチーニ監督は現在のチーム状態について「非常に強固で、全員がよく働きピッチで闘えるチームになってきた」と評価するが、長友はそのムードを体現している一人だとも言える。本当に、よくぞ失地回復できたものだ。

 そんな彼らの次なる課題は、攻撃面の向上だ。メディアやファンは厳しく、拙攻を続ければ掌を返すだろう。「私が理想とするインテルの姿にはまだ遠い。相手に合わせた戦術を取るのも、自分たちのサッカーで支配するという勝ち方がまだ出来ないからだ」。トリノ戦後、マンチーニ監督はこう語った。その”相手に合わせた”守備戦術の中で復活をアピールした長友にとっても、次の勝負は始まっている。守備の安定感を引き続きキープしつつ、精度の上でもクオリティアップを果たし、指揮官が構想するインテルの理想形へ名を連ねたい。

《文=神尾光臣》

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