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15/11/06【週刊 本田圭佑】愚直でブレない「サムライ」

ラツィオ戦での本田圭佑(写真:Getty Images)

愚直でブレない「サムライ」

 2日のラツィオ戦で勝利したミランは、これでリーグ戦3連勝となった。

 この試合、本田圭佑は81分からの途中出場。これで4試合連続プレー時間が10分に満たないことになった。3トップの右サイドに位置するイタリア代表のアレッシオ・チェルチは好調を維持し、本田は完全に試合終盤を締める“クローザー”のような役割となってしまっている。

 約1カ月前に飛び出したクラブやフロントを批判する発言以降、プレー時間だけでなく本田のミランでの存在感は希薄になるばかり。それでも連日、これまでと同じように練習場のミラネッロに早く到着し、入念な準備を経て練習に励んでいる。シニシャ・ミハイロビッチ監督は会見で彼を「サムライ」と呼ぶことも多いが、まさに厳しい立場に追いやられていながらもその姿勢は侍のように愚直でブレることはない。

 しかし、明るい兆しが見えない状況に、当然本田を取り巻くポジティブな報道も少ない。

 5日のイタリア有力紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が伝えたところによると、ミラノ中央駅近くにこのほどオープンしたレストランでミハイロビッチ監督主催の食事会が開催され、選手、クラブ関係者を含め総勢70名以上が足を運んだ。

 ミラノの夜でもひときわ目立つ、青の上下のスーツに同系色のシャツ、黒のスカーフ姿で現れた本田だったが、報道では食事会が終わると真っ先に帰宅の途に就いたと言われている。

 本田は普段、夕食を早い時間に済ませることが多いと、日々生活をともにする関係者が語っていたことがある。アドリアーノ・ガッリアーニCEOもあるインタビューで「同じレストランで顔を合わす時も、彼と家族は食事を終えて早々に帰宅していく」と話していた。一般的に、イタリア人の夕食時間が始まるのは日本人よりも遅い。ストイックにコンディション調整を行う本田にとっては、次の日の練習に影響を及ばさないために早めに帰宅したとも言える。

 ただ、今の本田の立場からすれば、こうした何でもない行動一つですら、クラブとの軋轢や確執と取られてしまうのだろう。

 

本田がやるべきこと

 さらに、週末にかけて気になるニュースが入ってきた。

 本田が今冬の移籍をクラブ幹部に志願したという記事が、イタリア紙『コリエレ・デラ・セーラ』に掲載された。同紙は『ガゼッタ』と同系列の一般紙。スポーツ紙ではないため、いわゆる“飛ばし記事”は少ないと言われ、またミラン上層部と密な関係を築いている記者も在籍している。記事によれば、話を聞いたガッリアーニCEOはこの1月での放出はしない意向を示しているようだが、さらにこの記事に追い打ちをかける報道が飛び出した。

 イタリアの衛星チャンネル・スカイスポーツイタリア他の地元メディアが、ミランが今季終了後の本田の移籍を容認したと報道。同様の記事をAFP通信も配信している。本田とミランの契約は再来年夏までとなっているため、来夏の移籍ではクラブも違約金を獲得することができる。1月に移籍する可能性はないが、ミランはシーズン終了後にはこの日本人アタッカーの売却に出る。それが、各メディアの現状の見解なのである。

 いまや、完全に本田はメディアにミランの“あぶれ者”のような扱いをされてしまっている。そんな中、7日に行われる第12節・アタランタ戦では、3トップの一角に入っていたジャコモ・ボナベントゥーラが出場停止。本田が先発する可能性も浮上しているだけに、このチャンスで彼がどんなプレーを見せるのか。おそらく多くの人々は懐疑的な視線を送るのだろう。本田がやるべきこと、それは批判をはねのけるプレーと結果を見せ、現在の喧騒を沈黙させるしかない。

《文=西川結城》

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