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15/09/30週刊 武藤嘉紀:ドイツ王者との初対戦


各国のスター選手がそろうバイエルンと対戦した武藤(写真=Getty Images)


渡独後、初めて対峙した世界最高レベル

 バイエルン相手に、0-3の完敗――。結果だけを見れば、マインツは戦前の予想通り、力の差を見せつけられてしまった。

 ドイツを代表する強豪相手に、FW武藤嘉紀がどこまで立ち向かえるか。前節の相手・レバークーゼンも今季チャンピオンズリーグに出場する実力あるクラブの一つだが、今節の敵は世界トップクラスの力を誇る。渡独して以降、武藤にとっては初めて最高レベルの選手たちと対決する舞台となったが、残念ながらあえなく返り討ちを食らってしまった。

 現在、マインツでの武藤の立場と評価は、急速に上昇している。

 いまや1トップのポジションは完全に彼のモノ。かつては対戦相手のタイプによってFWの選手起用を使い分けると話していたマルティン・シュミット監督も、毎試合チームの最前線をこの日本人アタッカーに任せるようになっている。

 バイエルン戦、周囲の期待を背に試合に入ったが、展開はいつも以上に守備に追われていった。

 マインツは格上相手の試合では常に相手の攻撃を守備で受け流しながら、速攻を狙うというスタイルを貫く。前線の選手は相手ボールを追いかけプレッシャーを与え、中盤とDFはコンパクトに守備ブロックを形成して、相手のミスを誘発する。そしてマイボールとなると、すぐさま前方にあるスペースに味方とボールを流し込み、相手ゴールに向かっていく。数少ないチャンスでも、そこで武藤のスピードやDFと競り合える強さを生かしていく攻撃が奏功する場面が、ここまでの試合では存在していた。

 しかし、バイエルン相手にはほとんどそうしたシーンを作り出すことができなかった。バイエルンはオーソドックスな4-4-2システムを採用し、マインツの各選手とかみ合うような図式がピッチにできあがった。ボールをキープし、各局面で出来上がる1対1をことごとく制していくアウェイチームに対して、マインツは普段の試合よりもボールをうまく奪えない時間が続いた。そして、前線の武藤も守備に忙殺されていった。

 それだけに、28分に訪れたワンチャンスを生かせなかったことは痛恨だった。

 左サイドのパブロ・デブラシスが中央に折り返したパスはDFにカットされるが、こぼれたボールに反応した武藤が右足のシュートを放ったが、惜しくも左ポスト横に逸れていった。

バイエルン戦で明確になった課題

 マインツのような戦い方のチームでは、一瞬の好機を逃さない意識はFWにとって欠かせない。それは昨季まで在籍したFW岡崎慎司がここで見せてきたプレーでもある。ましてや今回の相手はバイエルン。確実に、このチャンスを生かしたかった。

「前半に訪れた自分のチャンスを決めていれば、違った内容になったかもしれない」。

 後半早々にマインツが喫した失点が試合の趨勢を決定づけたところはあったが、武藤はそれ以上に自身の関与した場面を嘆いた。

「相手の逆を突くようなプレーだったり、裏をかくことだったり。そのあたりがまだこのレベル相手には足りないと感じた。あとはやっぱり、ワンチャンスをモノにする力です」

 スペースがある状態でパスが来ると、武藤は自分の動き出しの鋭さで相手に脅威を与えられる。しかし、スペースがない状態でボールを受けてから、自分の力だけで打開することは難しい。それは、どんなアタッカーにとっても難易度の高い働きだが、マインツのような戦い方をするクラブで結果を残し続けるためには、トライし、クリアしなければならないテーマなのである。

 今回の結果を受けて、武藤の評価が急落したわけではない。むしろ、周囲は「相手はバイエルンだった」というエクスキューズを含めた見方をしている。

 ただ、そのプレー同様、スピード感たっぷりにチーム内での存在感を高めている武藤が、ここから本当の意味でチームの核になっていくために。今度は格上相手からゴールを奪って見せるような驚きを周りに与えていくことが必要だ。

 やはり、バイエルンはそれほど甘くはなかった。次の対戦まで、武藤は毎試合さらに“結果”という回答にこだわり、自分を磨いていくしかない。

《文・西川結城》

ドイツ・ブンデスリーガ週末の生放送予定

・ダルムシュタット vs マインツ(武藤嘉紀)
 10月2日(金) 深夜3:20〜朝5:40(生中継 フジテレビNEXT
・バイエルン・ミュンヘン vs ドルトムント(香川真司)
 10月4日(日) 深夜0:20〜深夜2:40(生中継 フジテレビNEXT

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