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15/09/16週刊 武藤嘉紀:チームの理想形に合致するプレースタイル

ファンに認められた武藤。センターFWが定位置となった(写真=Getty Images)


岡崎の後継者としてFWに定着

 前節・ハノーファー戦での2得点1アシストの大活躍。武藤嘉紀は、一気にマインツファンの心を掴むことに成功した。

 日本代表で戦ったW杯アジア2次予選・2試合を挟んで再開したリーグ戦。武藤はアウェイでのシャルケ戦に乗り込んでいった。

 今や、完全にストライカーのポジションを任されている。当初は本職のサイドハーフでの出場が有力視されていたが、昨季まで在籍したFW岡崎慎司(現レスター)が務めていたFWのポジションの穴が埋まらず、結局マルティン・シュミット監督はそこに同じ日本人の武藤を起用し続けている。

 そんな武藤は日本代表戦でもカンボジア戦の後半にサイドの位置からFWへと移りプレー。「(FWでもサイドでも)どちらでもできるということを、代表、クラブで見せていければいい」と、本人も今ややり慣れた役割でもあるトップのポジションを受け入れている。

 試合は前半から敵陣に押し込むホームのシャルケに対して、マインツは守備から素早くカウンター攻撃を狙い続けた。

 武藤は果敢にロングボールを競り合い、上背のあるDFに競り勝つ場面も見られた。そこから前線の相棒、ユヌス・マリとのコンビで縦に速い攻撃を仕掛けようと試みていたが、人数が少ない攻めはなかなか連係が続かず。我慢の展開を強いられた。

 しかし、1点ビハインドの42分、武藤はしっかりゴールに絡んでみせた。

 ペナルティーエリア内右寄りのスペースに走りこみスルーパスを呼び込む。角度は少なかったが、そのまま右足で強引にシュートを打つこともできる位置だった。しかし、そこで武藤は中央への折り返しを選択する。ファーサイドから走りこんできたMFクリスティアン・クレメンスにパスを送ると、クレメンスが放ったシュートは右ポストを直撃。その跳ね返りを最後はマリが詰めて、同点に追いついた。

 武藤は「より確実なプレーを狙って、フリーの味方に出した」と語り、チャンスメイクするというゴール以外に与えられた役割を実践してみせた。

無得点も守備力を示す

 その後も武藤は前線で孤立する場面を耐えながらも、チャンスでは相手最終ラインと駆け引きを繰り返していった。クロスに対しても前に飛び込んでいく場合や、あえて少し引いた位置で待つ場合など、いくつかのバリエーションがあることを示した。ただ、肝心のシュートのところではタイミングが合わず、この日はゴールネットを揺らすことができなかった。

 得点こそなかったものの、武藤の良さが際立った要素があった。それは、守備である。

 前節のアシストも、前線からしっかり相手にプレッシャーをかけたところがきっかけとなっていた。シュミット監督は、「彼の守備での貢献度を買っている」と、武藤を最前線で起用している理由を説明している。

 シャルケ戦でも、試合開始のホイッスルが鳴ると、いきなりファーストプレーで相手GKにまでプレッシングを掛けて、GKのキックミスを誘った。その後も運動量を落とすことなく、しっかり敵の低い位置でのボール回しに食らいつく。武藤自身が、あるいは彼の背後で中盤の選手たちが相手ボールをカットし、そのままショートカウンターで攻め切ってしまうスタイルこそ、マインツの理想形だ。武藤が敵を追えば追うほど、マインツファンで埋まるスタンドからは、歓声と拍手が飛んでいる。彼の献身性は大いに気に入られており、チームの重要な武器と認められているのだ。

「もちろん攻撃でだけでなく、守備も僕の特長だと思っている。Jリーグの時から自分プレーは、良い守備があってからの攻撃だと自覚しています」

 結局、マインツは1-2でシャルケに敗戦を喫した。しかし、チームの狙いと武藤の適合は試合を追うごとに進んでいる印象だ。さらなる完成度、そして武藤のゴールがどこまで増えていくかに、期待が持てる。

《文・西川結城》

ドイツ・ブンデスリーガ週末の生放送予定

・マインツ vs ホッフェンハイム武藤嘉紀
 9月18日(金) 深夜3:20〜朝5:40(生中継 フジテレビONE
・ダルムシュタット vs バイエルン・ミュンヘン
 9月19日(土) 夜10:24〜深夜0:54(生中継 J SPORTS 2
・ドルトムント vs レヴァークーゼン(香川真司)
 9月20日(日) 深夜0:20〜深夜2:40(生中継 フジテレビONE
・バイエルン・ミュンヘン vs ヴォルフスブルグ
 9月22日(火) 深夜2:50〜朝5:10(生中継 フジテレビNEXT
・ヘルタ・ベルリン vs ケルン(原口元気、大迫勇也、長澤和輝)
 9月22日(火) 深夜2:54〜朝5:30(生中継 J SPORTS 4

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