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17/09/04【日本代表 コラム】示したプライド。左はいまだ長友の持ち場

(写真:Getty Images)

 本田圭佑も香川真司もいない。新たな装いで、日本は勝利をつかんだ。その布陣の左端には、小柄な体格を屈強な相手にぶつけ、デュエルを繰り返す男がいた。長友佑都。自身3度目のW杯出場決定の瞬間だった。

 3年前の語り口が、いまでも耳に残る。「自分たちのサッカーがどこまでできるか。それが表現できれば、いまの僕たちなら勝てる自信がある」。そう言って戦いに身を投じた、ブラジルW杯。結果は惨敗。カメラの前で涙した長友の姿もまた、目に焼きついている。

 豪州戦。日本は無骨に戦った。甘美な攻撃は皆無。そこには現実的な作戦に則ったチームがいた。試合中は「アドレナリンが出っぱなしだった」という長友が、試合後には冷静さを取り戻しこう語った。

「理想論だけを語っていても、結局世界では勝てない。ブラジルでの経験がなければ、あそこでうまくいっていれば、自分たちのサッカーと言い続けていたと思う。でも、それでは甘かった」

 かつてのキレのある突破は、最近は影を潜める。しかし、長友は以前とはスタンスを変えた。攻撃的に振る舞うことで世界と戦おうとした“理想”を封印し、小さな体でも相手を抑えることに注力していく。「SBは、DFなんです」。守備の国・イタリアで、彼は本質に気づかされたのだった。

 豪州の選手に深いタックルをしかけ、ボールカットするプレーは痛快だった。守れるSB、闘える日本人。毎シーズン、所属するインテルでも初めは放出候補や控え人員と目されるが、気がつけば青黒色のシャツを着た長友がプレーしている。あらためて、彼ほど毎度逆境をはねのける日本人選手がいるだろうか。

「インテルでの厳しい経験が、僕のメンタルの芯の部分を強くしてくれている。だからこの試合も本当に自信を持って試合に入った。落ち着いていた自分がいたことが大きかった」

 魂のこもったプレーに、浅野拓磨へのアシストも記録した。目に見える結果まで残した長友のプライド。本田も香川もいないが、日本の左はいまだ彼の持ち場だ。

文・西川 結城

日本代表関連生放送予定  

2018 FIFA ワールドカップロシア アジア最終予選

・日本 vs サウジアラビア
 9月5日(火) 深夜2:20〜(生中継 テレビ朝日系、NHK BS1)

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