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17/04/17【週刊 長友佑都】10試合ぶりのスタメン出場で自身の価値を再証明

ダービーでスソとマッチアップする長友(写真:Getty Images)

久しぶりの先発出場でミランのキーマンを封じる

「スソに長友?」インテリスタは憂い、ミラニスタは笑う。今回のミラノダービーでDF長友佑都がインテルの左サイドバックとして先発することが明らかになった時、ファンはネット上でそのような反応を示した。先のダービーで途中交代からMFスソを抑えたのは誰だっけというツッコミも入れたくはなるが、まあ無理もない。スソは今シーズンどんな相手からもチャンスを創出しているし、かたや9試合に渡って先発から遠ざかり、放出も噂されている男がマッチアップするというのだ。だが試合後、当のスソは地元TVのインタビューにこうコメントすることになる。「(クリスティアン・)アンサルディで来るかと思っていたけれど、より僕を妨害したいから長友を起用したんだろう。そしてその通り、僕にとってもっと厳しい試合になってしまったよ」

 事実、これまでのプレー水準から考えるとスソは随分とおとなしかった。いや、長友に沈黙させられたのだ。いつもなら小気味良いフェイントでマーカーを抜き、外から中へと入って来るのだが、カットインのコースは抑えられている。一本ミドルシュートがあった他は遠いところからのクロスを放つぐらいしかチャンスメイクはできておらず、それらも長友から離れたエリアで放ったものだ。もっとも最終的には、長友との1対1からクロスを放って2-1となるゴールを演出してはいる。しかしそれも相手を抜ききらないうちに右足で放ったもので、地元紙からは「必要最低限を果たしたにすぎない」と書かれる始末だった。

 それだけ長友のマークは厳しかったのである。駆け引きは、スソがボールを持たないうちから細かく行なっていた。相手の動きに対して常に一定の間隔を保ち、縦のスペースを切って張り付いて来る。そしてスソがパスを受ければ体を寄せて絶対に前を向かせず、特に相手の利き足である左足のコースは徹底して切る。高い位置からもインターセプトを狙い、60分にはスソへのスルーパスすらカットした。また長友は、敵陣でCK時にはFWジェラール・デウロフェウのカウンターを警戒する役割も任された。8分には縦に抜けたその彼から、ダイアゴナルランでコースを切ってピンチを回避。終盤では自身のサイドにそのデウロフェウまでぶつけられるが、味方を引きちぎり続けたスピードスター相手に、エリアへの侵入は許さなかった。 

 試合に引き分けたものの長友の評価は再び高まった(写真:Getty Images)

「やってきたことは裏切らない」

 それだけに83分、スソのクロスを防げなかったところが唯一残念である。ただ難しい状況ではあった。守備システムの急変更で後方が乱れ、サポートがなく長友のエリアは広大になり、しかも1対2の数的不利が生じてスソに詰めに行けない。「左足の方が精度が高いから、スソの左足をケアするしかなかった」と長友は試合後に述懐している。その通り左を切った後、スペースを使われた挙句右足でクロスをあげられたわけだが、あまり責められないところだろう。とにかく、90分間粘りのプレーを敢行。フィジカルコンディションが充実していないとできないものだ。

  チームの勝利につなげたいところだったが、長友にとっては自身のコンディションと今までの練習に自信を持てるという成果もあった。「やってきたことは裏切らないんだな、と自分のコンディションを見て思った」と彼は言ったが、言葉と試合中のパフォーマンスに剥離は感じなかった。日本代表がらみで試合勘や出場機会がよく話題となるようだが、厳しいポジション争いに身を置き練習を積むということも重いものである。長友がスタメンを外されてもその都度復活を果たしてきたのは、ひたすら練習を地道にこなしてきたからだ。不出場が長期に及んだ今回、これを再確認できた意味は大きいはずだ。

 今回の起用にはスソ対策という理由のほかに、最近の試合でアンサルディが不調をかこっていたという事実もステファノ・ピオーリ監督の判断に影響したに違いない。ダービーで得た自信をバネに、練習で一層のコンディションアップをアピールできれば、遅ればせながら定位置の奪回につながるかも分からない。そういう期待を置けるだけの説得力が、ダービーでのプレーにはあった。

《取材・文=神尾光臣》

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