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17/03/22【日本代表】長谷部不在の日本をけん引するのはこの男。吉田麻也が描くUAE戦のゲームプラン

クラブでもセンターバックのファーストチョイスに(写真:Getty Images)

リーグカップのベストイレブンに選出

 イングランドに渡って5シーズン目。DF吉田麻也が、かつてない充実した戦いの日々を送っている。

 現在サウサンプトンでは、リーグ戦10試合連続で先発出場を果たしている。主将を務めてきたポルトガル代表DFジョゼ・フォンテは今冬にウェストハムに移籍。またフォンテとともにセンターバックのコンビを組んでいたオランダ代表DFフィルジル・ファンダイクもケガで長期離脱している。長年、多くのライバルの後塵を拝しセンターバックの3番手となってきた吉田が、ここに来てファーストチョイスされる選手へと昇格したのである。

 先月下旬に行われた、リーグカップの決勝。舞台はサッカーの聖地・ウェンブリー・スタジアム。吉田にとっては、5年ぶりとなる聖地での一戦だった。ロンドン五輪準決勝でメキシコと対戦し、その時は敗戦。しかしその大会での好プレーが評価され、彼は五輪直後にオランダのVVVからサウサンプトンに移籍したのであった。

 今回の相手は、マンチェスター・ユナイテッド。最前線には世界的なストライカー、ズラタン・イブラヒモビッチがいた。

 吉田は序盤から、イブラヒモビッチとの競り合いが続く。敵は言わずと知れたフィジカルモンスターであり、テクニックも併せ持つ完成度の高いFW。しかし吉田も体のぶつけ合いや駆け引きで工夫を見せ、世界でも指折りのストライカーを止めていく。空中戦で勝利することもあれば、ファウル覚悟で相手に競り勝つ場面もあった。

 まさに、しのぎを削る戦い。デュエルの連続にも、吉田は一歩も引けを取らないタフな守備を見せていった。

 結局、最後はそのイブラヒモビッチが試合終了間際に決勝弾を叩き込み、サウサンプトンは惜しくも2-3で敗戦。吉田個人の出来は素晴らしかったが、チームの結果に結びつけることはできなかった。

 それでも今季のリーグカップは彼とチームにとって大きな飛躍を意味する大会でもあった。準決勝終了時でのサウサンプトンの失点数は、『0』。リバプールやアーセナルといった強豪クラブを倒してのファイナル進出でもあった。そして全試合にフル出場した吉田は、見事大会のベスト11に選出された。

 いま、彼は自分の現状を冷静に受け止めている。今やリーグ戦でキャプテンマークを巻く試合も出てきているが、本人は舞い上がることはない。

「試合に出ている充実感はもちろんあります。これまで長い間出られない時期も経験して、その苦しさも重々理解できているので。でも、それ以上に今季はチームもなかなか浮上できない苦しい試合が続いているし、失点も増えてきている。その悩みの方が大きい。リーグカップの決勝も、悔しいですよね。本当にあとちょっとだった。でも、その違いを生み出せる選手に勝っていかないと、この差は埋めていけない。こういう試合を何度も何度もこなして、経験して、成長していかないといけないと思う。僕だけじゃなくて、こういう舞台でプレーする日本人選手がヨーロッパでもっと出てくるようになれば、もっと日本サッカーに還元できるものも増えていく」

 23日に迎えるW杯アジア最終予選・UAE戦。吉田は19日にトッテナムとのリーグ戦を戦い終えると、スタジアムからそのままロンドン・ヒースロー空港に直行。機上の人になり、UAEに到着した。 

プレミアで積み重ねた経験を武器にアジアでの戦いに臨む(写真:Getty Images)

長谷場不在の中、求められるリーダーシップ

 日本代表は、バヒド・ハリルホジッチ監督が「代えの利かない存在」と口にする主将のMF長谷部誠が負傷離脱するというアクシデントを抱えてしまった。厳しい戦いが予想される中東でのアウェー戦。この一戦に向けて、吉田は「ハセさんや自分のような経験のある選手が、チームをコントロールしたい」と話していたが、信頼するキャプテンが不在の中で戦うことになった。

 プレミアリーグで、日本人で初めてキャプテンマークを巻いた吉田。イブラヒモビッチとの対峙で見せつけたハードなプレーはもちろん、チームを支え、牽引するメンタル面もUAE戦では期待される。

 そんな吉田は、UAE戦のゲームプランについて、プレミアでの実体験を踏まえてこう話している。

「ハリルホジッチ監督は速い攻めを常に求めている。それができれば理想だけど、ピッチにいる自分たち選手がそこをうまく調整する必要もある。中東での試合は特にプレーの緩急をもう少しつけたい。遅攻か速攻か、そのどちらかだけではダメで。試合の流れ、環境、気候と、アジアでは本当にいろんなシチュエーションが出てくる。

 例えば、今季のウェストブロムウィッチ戦、自分たちは中一日での試合だった。相手は中二日で臨んできた。彼らは、僕らの方が疲労が残っているとわかっていたけど、それでもあえてゆっくりプレーしてきた。ファウルの後やスローイン、ゴールキックとプレーが止まる度に、すべて30秒ぐらいかけてきたぐらい。でも、最後は彼らの一発カウンターで僕らはゴールを決められて、負けた。まさに、緩急ですよね。試合としてはつまらないですよ。でも、やっぱりそれが勝つための戦い方なんです。そういうディテールを考えながら、UAE戦もゲームマネジメントしていかないといけないと思います」

 世界最高峰の舞台で常に味わう、駆け引きの重要性。そこには勝負の本質が詰まっている。それもこれも、今プレミアの舞台で毎試合出場しているからこその経験。吉田はそれを武器にして、日本代表でタフに戦えるか。ディフェンスリーダーの真価が問われるUAE戦となる。

《文=西川結城》

日本代表関連生放送予定

2018FIFAワールドカップロシア アジア最終予選

・UAE vs 日本
 3月23日(木) 深夜0:00〜深夜2:50(生中継 NHK BS1、テレビ朝日系)

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