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17/03/01【リーグ杯】マンチェスター・Uがリーグ杯制覇。サウサンプトン吉田は惜しくもタイトル逃す

吉田はタイトルの懸かった一戦で存在感を示した(写真:Getty Images)

2点ビハインドから追い上げたサウサンプトン

 日本代表DF吉田麻也を擁するサウサンプトンはリーグカップの決勝でマンチェスター・ユナイテッドと対戦した。クリスタル・パレス、サンダーランド、アーセナル、ホーム&アウェー方式だった準決勝のリバプール戦と全ての試合にフル出場し、無失点の勝利を続けてきた吉田はこの日も先発メンバーとしてフットボールの“聖地”ウェンブリー・スタジアムのピッチに立ち、日本人選手の新たな歴史を刻んだ。

 4-4-1-1の布陣を敷いたサウサンプトンはクロード・ピュエル監督が植え付けた組織力をベースに、吉田が統率する4バックと中盤の4枚で強固なブロックを形成し、FWズラタン・イブラヒモビッチが牽引するマンチェスター・ユナイテッドの攻撃陣に対抗した。局面で劣勢に立たされても守備の連動で補っていた。しかし、それでもどうにもならないのが直接FKだ。

 前半19分、ペナルティエリア手前の左寄りからイブラヒモビッチが右足で蹴ったボールはするどく壁の内側を破り、鋭い軌道でゴール左に突き刺さった。これには恵まれた体格と高い身体能力を誇るGKフレイザー・フォースターの反応も及ばなかった。これで俄然マンチェスター・ユナイテッドが優位に立つかに思われたが、サウサンプトンは浮き足立つことなく波状攻撃を防ぎながら、カウンターから反撃を試みる。

 28分には吉田のヘッドクリアを起点とした攻撃からMFジェームズ・ワード=プロウスが強烈なミドルシュートでGKダビド・デ・ヘアを脅かす。その3分後にはネイサン・レドモンドの縦パスをバイタルエリアで受けたデュサン・タディッチのシュートが惜しくもデ・ヘアに阻まれた。このシーンは前線のマノロ・ガッビアディーニがうまくDFを外側に引き付けてタディッチのスペースを作るなど、この時間帯から得点の可能性は漂わせていた。

 しかし、次のゴールを奪ったのもマンチェスター・ユナイテッドだった。左サイドのマルコス・ロホを起点に一瞬の隙を突いてマタ、アンソニー・マルシアルとつなぎ、インサイドに流れながらパスを受けたロホがバイタルエリアにボールを送ると、ジェッセ・リンガードがDFラインの手前から右足でシュート。これを吉田が咄嗟にブロックしようとしたが、股下を破られてしまい、フォースターの手も届かなかった。

 カップ戦の決勝でマンチェスター・ユナイテッドに2点のリードを許すという非常に苦しい試合展開となったが、サウサンプトンのイレブンは諦めることなくハードワークで守備から攻撃につなげる。そして前半アディショナルタイムにはレドモンドを起点に右で前を向いたワード=プロウスがDFラインとGKの合間にグラウンダーのクロスを通し、ガッビアディーニがデ・ヘアの目前で合わせてゴールネットを揺らした。

 48分にはCKのセカンドボールを拾った吉田のパスからレドモンドが放ったボレーシュートがデ・ヘアに弾かれたが、続くCKをうまくファーで受けた吉田がロホのタックルであわやPKというシーンを誘発して、再びCKとなる。そして三度目の正直と言うべきか、ワード=プロウスのキックのクリアボールをスティーブン・デイビスがマルシアルに競り勝って折り返すと、混線の中でガッビアディーニが躊躇無く左足を振り抜いてボールを捉え、ゴール右隅に決めた。

 後半の早い時間帯までに2点差を追い付くという信じがたい展開から、サウサンプトンは個の劣勢を組織の連携と運動量、球際の粘り強さであり余るほどに補い、逆転勝利への意欲を見せ付けた。63分にはCKからオリオール・ロメウがヘッドで合わせたボールが右ポストに阻まれる不運もあったが、その後も勝機を見出そうと躍動する。その中で吉田の守備も光り、落ち着いた統率と局面での強さで跳ね返し、72分にはディフェンスラインを破りかけたリンガートの足下からスライディングでボールをかき出した。

 しかし、お互いがゴール前の攻防を繰り返す状況で決勝ゴールを奪ったのはマンチェスター・ユナイテッドだった。カウンターからイブラヒモビッチを起点に全体を押し上げると、サウサンプトンも敵陣から素早く戻ってゴール前を固めたが、マルシアルが囲まれた状態から右サイドでフリーになっていたアンデル・エレーラに展開。そこから供給された正確なクロスにイブラヒモビッチがドンピシャのヘッドで合わせ、千両役者の貫禄を見せ付けた。

 サウサンプトンは残された時間も諦めることなくゴールを目指したが、マンチェスター・ユナイテッドも全員守備でしのぎ、ジョゼ・モウリーニョ監督になって初の優勝タイトルを獲得した。日本人の吉田としても、なかなか無いチャンスを掴めなかったことは残念だろうが、なかなかできない貴重な経験を詰んだことも確か。それがここからどういう形で生かされていくのか見守りたいところだ。

《文=河治良幸》

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