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17/01/26【リーガ】試練の週末を迎えるレアル・マドリー

右サイドバックでの起用も考えられるルーカス・バスケス(写真:Getty Images)

多くの負傷者を抱えるレアル・マドリー

 冬の王者レアル・マドリーに試練の週末になる。先週末のマラガ戦では2-1で勝ったものの内容は良くなく、セルヒオ・ラモスの2発で辛くも逃げ切った格好。1対1を抜けず絶好機を外しまくったロナウドを始めとする選手にはホームの観客からブーイングが飛んだ。無敗記録が40試合で止まってからコパ・デルレイ、セルタ戦で破れ、そのセルタと週中に戦ってからソシエダ戦に臨むのも不利な材料。さらにマラガ戦でモドリッチとマルセロが負傷。モドリッチの代役はコバチッチだろうが、カルバハルも負傷中だからSBがいなくなってしまった。ダニーロの回復が間に合わなければナチョ左SB、ルーカス・バスケス右SBという選択もあるかもしれない。

 キーマンはそのルーカス・バスケス。マラガ戦ではウイングでもSBでも右サイドを突破しセンタリングを上げ続けた。ロナウド、ベンゼマが精彩を欠く中、今最も頼りになるアタッカーだ。SBで起用されれば攻撃への貢献度は下がるだろうが、守備では献身的なプレーを見せてくれるだろう。

 対するソシエダは強敵セルタを1-0で破った。ポゼッションサッカー同士の顔合わせだったがボールと主導権を握ったのはソシエダで、スコアは僅差だったが特に後半はチャンスの山を築いた。コパ・デルレイに参戦中という点ではレアル・マドリーと同じだが、選手に疲れは見られない。今週末もボールを支配するいつものサッカーをやって来るだろう。

 注目してほしい選手はファンミ。4-3-3の左サイドで使われることが多いが本来はトップ下あるいはセカンドトップ。足下が巧みですばしっこく、セルタ戦での決勝ゴールを見ればわかるように小柄ながらヘディングシュートもある。セルヒオ・ラモスやバランが苦手にするタイプのFWである。 

複数のポジションをハイレベルにこなすセビージャのキーマン、イボーラ(写真:Getty Images)

首位を追うセビージャとバルセロナ

 首位を1差で追うセビージャはエスパニョールと対戦する。先週末はオサスナ相手に苦労したが、ロスタイムのサラビアのゴールが決勝点となって4-3で勝利。80分以降のゴールで勝ち点11を稼ぎ、最も土壇場に強いチームとなっている。芝生の悪さ、フィジカルなサッカーに悩まされながらサラビアを投入し3バックから4バックに変更する采配が的中。3点目のシーンでフランコ・バスケスのファウルを見逃した誤審にも助けられた。

 負傷中のビトロの代役ヨベティッチは2アシストで合格点。同じく負傷中のナスリの代役は本来、清武のはずだが、サンパオリ監督はフォーメーションを変えイボーラを置いた。オサスナ戦で“ハットトリック”(1点はオウンゴールだが……)したそのイボーラをキーマンとしたい。本来は守備的MFだがCBでもセカンドトップでもプレーできるのは、技はもちろんだがサッカーインテリジェンスが高いため。ポジション、状況で何をすれば良いかが完全にわかっている。

 エスパニョールはグラナダの守備の脆さに助けられ3-1で完勝。レジェスと、ウォーミングアップ中に負傷したビクトル・サンチェスの代役マルク・ナバーロが、ともに対角線に侵入後に美しいミドルシュートを決めた。キーケ・フローレス監督のロングボール中心のシンプルなカウンターサッカーが、圧倒的にボール支配されるだろう今週末、通用するかどうかは前線の個人の力にかかっている。ということでセビージャ出身の繊細なテクニシャン、レジェスをキーマンとしたい。

 セビージャと1差のバルセロナはベティスと対戦する。先週末ルイス・エンリケのチームがエイバルに手こずったのは最初の30分間だけだった。ルイス・スアレスのゴールで気落ちしプレスの勢いも落ちた相手を、残りの60分間は圧倒して4-0で勝利した。

 下がり目の位置から絶妙のアシストを送り続けるメッシに導かれる形でルイス・スアレス、ネイマールも調子を上げてきた。負傷したブスケッツは代えの利かない選手だが3トップが好調なら3人で攻撃は賄ってしまうので、イニエスタ不在と同様、深刻な穴にはならないのではないか。とはいえ、代役ラキティッチがどうプレーするのかは見ものなので彼がキーマン。セビージャ時代はボランチの位置でプレーしていたこともあり、最近出番を失っていたが監督の信頼を取り戻す好機として発奮するに違いない。

 ベティスはルビィ新監督が就任したばかりのスポルティングと0-0で引き分けた。前半だけで5度の好機を作ったが、後半相手がSBの上がりを警戒してくるとチャンスがなくなり、終了10分前から席を立つファンが現れ試合終了と同時に空席の目立つスタジアムにブーイングが響いた。降格圏から決定的に遠ざかる機会を逃したのは確かだが、観客の反応はあまりにナイーブ過ぎる。監督交代を経験してなお降格圏と9ポイント差という現状は十分満足できるものだと思うが。ただ今週末は格上のバルセロナ相手であり、たとえ敗れてもファイトさえ見せればファンも声援を惜しまないだろう。

 キーマンは左SBのドゥルミシ。5バックで守っても押し込まれる展開なると両SBがサイドをえぐる形でしか攻撃の形が作れない。スピード抜群、対角線侵入からのシュートもある若きデンマーク代表だ。 

ビルバオ戦でチームを救ったグリーズマン(写真:Getty Images)

上位陣に勝てないアトレチコ

 アトレチコ・マドリーが調子に乗れない。先週末はアスレティック・ビルバオ相手に先制するという絶好の展開になりながら、引いて待つ得意の形で2失点。グリーズマンの個人技で2-2と引き分け、やっと勝ち点を拾った。失点はいずれもゴール前で相手のマークを外す“らしくない”ものだった。シメオネ監督は守り切るサッカーという原点に戻り、それはリーガ3連勝無失点という形で成功したかに見えたが……。かつては上位陣にこそ強かったチームが、このアスレティック・ビルバオ戦を含め上位6チームに対して勝ち点2というのは寂しい。今週末アラベス相手に勝ち点を失うことになれば、リーグ優勝争いに別れを告げることになりかねない。キーマンは孤軍奮闘のグリーズマンか。

 アラベスはレガネスと2-2で引き分けた。ほとんど好機のない試合だったが、アラベスは枠内シュート3、レガネスは同4で2点を挙げる効率の良さだった。バスクのチームらしくアラベスは縦に速いフィジカルなスタイルが特徴。ただそれが雑なサッカーにならないのは、前線にデイベルソン、中盤にイバイ、マルコス・ジョレンテ、最終ラインにテオと要所にタレントがいるからだ。

 特にレアル・マドリーからレンタル中のマルコス・ジョレンテは、ボール回復数でヌゾンジ(セビージャ)、ロケ・メサ(ラス・パルマス)、ダニ・ガルシア(エイバル)、イジャラメンディ(ソシエダ)を上回っており、しかもイエローカードはわずか2と誰よりも少ない。「前半戦のサプライズ」と呼ばれるのが当然である。今週末はその彼をじっくり見てみたい。

 エイバルの突撃精神はバルセロナのクオリティに屈した。かつてバルセロナに0-8で敗れたこともある彼の前へ前へという信念は2季連続の同スコアでの大敗でも揺るがない。頑固と言うなかれ、その確かな戦術でエイバルは降格圏とは無縁の順位にいられるのだ。ユニフォームに日本語の名前を入れるというアイディアも良かった。乾の大活躍のお陰で谷間の小さな街エイバルは、今や日本でも大変有名である。

 その乾はボールを持ってプレーする機会が少なかった。バルセロナに圧倒的にボールを支配されたこともあったが、アドリアンがトップ下に入ると彼のワンクッションの間に相手陣形が整ってしまい、乾が得意の1対1に持ち込む状況が減ってしまうのだ。アドリアンの高さとパス能力は捨てがたいが彼の輝きは乾に影を落としてしまう。リフレッシュのために今週末は乾を休ませ、ベベの先発があるかもしれない。キーマンはバルセロナ戦のMVPの右SBのカパ。今季はずっと不振だったが、やっと得意の突破力と運動量が戻って来た。

 デポルティーボはラス・パルマスと1-1で引き分けた。順位こそ16位だがこのチームは悪くない。特に光っているのがFWアンドネと攻撃的MFコラクのコンビ。右サイドに置かれてからコラクの貢献度は下がっているものの、決定的なパスは依然彼から供給され続けている。エイバルのプレスをかわすためには、相手DF裏へのロングパスが攻略法となる。ラス・パルマス戦の得点シーンで見せたようにそれがアンドネへ通れば絶対的なチャンスとなるだろう。よって、キーマンはコラクとしたい。

《文=木村浩嗣》

スペイン・リーガエスパニョーラの生放送予定

リーガエスパニョーラ第20節

・アラベス vs アトレチコ・マドリード
 1月28日(土) 深夜0:00〜(生中継 WOWOWライブ
・エイバル vs デポルティーボ(乾貴士)
 1月28日(土) 深夜2:20〜(生中継 WOWOWライブ
・エスパニョール vs セビージャ(清武弘嗣)
 1月29日(日) 深夜0:00〜(生中継 WOWOWライブ
・レアル・マドリード vs ソシエダ
 1月30日(月) 朝4:30〜(生中継 WOWOWプライム

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