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17/01/13【WOWOWリーガコラム】優雅でありたい監督の去り際、実際のところは...

(写真:Getty Images)

 去り際は優雅でありたい、と誰でも思う。

 例えば一昨年夏、私は『footballista フットボリスタ』編集長を辞めたが、送別会まで開いてもらい温かく送り出してもらい感謝感激であった。ただ、監督交代の場合は「立つ鳥跡を濁さず」ばかりともいかないこともある。本人はまだやれる、と思っていてもクビを切られることもあるからだ。

 私も途中解任ではなかったが、何年カ前に2年間の約束のはずが1年で辞めさされて納得できなかったことがある。その時のスポーツディレクターとはその後は口を利かず、「見返してやる」という思いがグラウンドに日々立つモチベーションになっている。まあ今は育成ながら結果も出すようにバランスを取っているから、監督として成長する糧になったと感謝すべきなのかもしれないが……。

 こんなふうだからクラブが途中解任した監督のためにお別れ会見を開くというのは、めったにない。クリスマス休暇前後にマラガ、オサスナ、バレンシアが監督退任を発表し、これでリーガでは今季計8回の解任・辞任劇があったのだが、公式会見を開いたのはグラナダのパコ・ヘメスだけ。パコ・ヘメスは恨みつらみを一切口にせず、「私は多くのミスをした」、「すべての責任は私にある」と好印象を残して去った。こういう去り際なら未来のある日、パコ・ヘメスが監督に復帰するというストーリーだってあるだろう。

 私もお別れ会見に立ち会ったことがある。2011-12シーズン中セビージャがマルセリーノ・ガルシア・トラルを解任した時のことだ。誠実な人柄でクラブ職員にも愛されていた彼のためにクラブはお別れ会見を開くことを提案、本人も受け入れたその席でマルセリーノは目に涙をためて別れを惜しんだ。同席した広報担当者ももらい泣きするほどの感動的な瞬間だった。

 プロサッカーは結果である。よって「泣いて馬しょくを斬る」ことも当然あるわけだが、それでプロフェッショナルな関係は終わっても人間的な関係が終わるわけではない。マルセリーノはその後ビジャレアル監督時代に一部ファンと対立したのでセビージャ復帰は難しくなってしまったが、彼へ抱いた私の好感はその数年後のインタビュー実現に結び付いた。

 解任された監督の多くは会見をせず口をつぐむ。沈黙を守って、傷が癒えるのを待つ。恨みつらみを口にすれば、それがクラブとの関係を悪化させるだけでなく、騒動を招いて後任監督のスタートにも悪影響を与えるからだ。だが、誰もが我慢できるわけではない。

 バレンシア監督を辞任したチェーザレ・プランデッリは、退任後に私的な会見を開き、「約束した補強がなかった」とフロントとの意見の食い違いがあったことを認めた。慎重で落ち着いた口調だったが、この発言はバレンシアのファンを“反プランデッリ派”と“親プランデッリ派=反フロント派”に2分することになり、結果的にクラブを追い込むことになる。バトンタッチ後の初戦に敗れた後任監督ボロは、「選手は(スタンドの)悪い雰囲気に呑まれた」と嘆いた。

 監督交代劇には、ビジネス化と合理化が進むサッカー界には珍しく人間臭さが濃く漂っている。だからこそ面白く、そして危険でもある。 

《文=木村浩嗣》

スペイン・リーガエスパニョーラの生放送予定

リーガエスパニョーラ第18節

・バルセロナ vs ラス・パルマス
 1月14日(土) 深夜0:00〜(生中継 WOWOWライブ
・アトレチコ・マドリード vs ベティス
 1月14日(土) 深夜2:20〜(生中継 WOWOWライブ
・デポルティーボ vs ビジャレアル
 1月15日(日) 朝4:35〜(生中継 WOWOWライブ
・スポルティング・ヒホン vs エイバル(乾貴士)
 1月15日(日) 深夜2:15〜(生中継 WOWOWライブ
・セビージャ vs レアル・マドリード(清武弘嗣)
 1月16日(月) 朝4:35〜(生中継 WOWOWライブ

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