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17/01/11【リーガ】セビージャはレアル・マドリーの無敗記録を止められるか

公式戦40試合無敗のチームを率いるジダン監督(写真:Getty Images)

コパ・デルレイに続きセビージャと対戦するレアル

 今週末最大の注目はセビージャがレアル・マドリーの40試合負けなしを止めるかどうか。これは同時にジダンのチームの独走にストップをかけるか、という意味でもある。両者は4日にコパ・デルレイ第1レグで対戦済みで、その時にはレアル・マドリーが簡単に3-0でセビージャを退けた。12日の第2レグは消化試合に近いものになるだろうから、あくまでも本番はリーガの15日の試合である。

 大敗した試合では4バック、ゼロトップ、守備的MF2枚起用と守備的なプランで失敗したサンパオリ監督は、過ちを繰り返さないだろう。前節のソシエダ戦では通常の3バックに戻して、アウェーで強敵を寄せつけずに4-0で勝利した。これでリーグ戦ではここ3試合で11得点1失点と攻守が完全に噛み合っている。ソシエダ戦ではベン・イエデルがハットトリック+1アシストと大活躍。得点不足に悩んでいたのが嘘のようだが、攻撃パターンにも変化が見られる。以前のようにショートパスで崩すだけではなく、裏へ飛び出すFWにボールを入れそのままシュート、あるいは味方へアシストというタッチ数の少ないシンプルなプレーが増えているのだ。裏を狙う意識ができたことで相手守備陣はコンパクトな陣形を保てず、スペースが生まれることで本来のショートパスでの崩しの効率も上がっている。ただし、レアル・マドリーの守備ラインは高くないから裏一発でゴールという展開は考えにくく、得点が生まれるとしたらショートパスによる崩しが前提となりそう。

 となるとキーマンはベン・イエデルではなくむしろナスリとなる。ベン・イエデルがオトリになって広げたスペースをナスリが活用しビトロ、フランコ・バスケスとのコンビで崩すというパターンだ。ソシエダ戦のナスリはファンタスティックだった。積極的にサポートし自らもドリブルで前進、2列目から飛び出してのシュートも何本か見せた。繋ぎ役だけでなくゴールに直接絡めるようになった彼が勝敗のカギを握る。

 レアル・マドリーはグラナダを寄せつけずに5-0で勝利した。ジダン監督のやり方は極めてシンプルだ。中央をカセミロとCB2枚で固めてSBを高い位置に置き、クロースとモドリッチを左右に置いて彼らの精度の高いパスで前の5人(3トップ+両SB)を生かす。3トップの1角の攻撃的MF(イスコかハメス)がトップ下に入って細かいコンビを見せることもあるものの、基本的にはギャップでパスを受けた選手がセンタリング→ロナウドあるいはベンゼマがズドンというパターン。飾りもない代わりに容赦もない。

 こちらのキーマンはゴールゲットに徹したロナウド。ゴール前に位置し周りにお膳立てしてもらう今のやり方は、彼のゴール量産のためにあると言っていい。ジダンのレアル・マドリーの「力強さ」を体現する選手である。 

 メッシ頼みのチームで、キーマンとなるネイマール(写真:Getty Images)

絶対に勝ち点3を落とせないバルセロナ

 セビージャとレアル・マドリーが潰し合う間に差を詰めたいバルセロナは、ラス・パルマス戦を必勝で臨む。ルイス・エンリケのチームは前節、ビジャレアル相手に90分のメッシのゴールで1-1の引き分け。ボールを70%近く支配しシュートを20本放った内容は少なくとも勝ち点1に値した。失点は一発のカウンターからのもので、パトへのマークが遅れたピケの唯一のミスが命取りになった。1試合少ないレアル・マドリーとは5ポイント差に開き、セビージャに2位の座を奪われたとあってこれ以上勝ち点を失うわけにはいかない。ネイマール、ルイス・スアレス、イニエスタのシュートが精度を欠き、相手にも良く守られ、微妙な判定もあった。

 機能不全が起きているとすれば、中盤か。イニエスタ、ブスケッツは万全だが残り1枚が決まらない。信頼を失ったラキティッチには移籍の噂があり、アンドレ・ゴメス、ラフィーニャ、デニス・スアレス、アルダもレギュラーにはなれていない。もっとも、ポゼッション重視し同タイプのラス・パルマスは相手としてはやり易く、前節ほどはその欠点も目立たないだろう。キーマンは、2枚で守られて強引に突破を試みては跳ね返されていたネイマール。メッシのみが攻撃を支えている状況ではまたいつ勝ち点を失うとも限らず、それはリーグ優勝絶望を意味しかねない。

 ラス・パルマスはスポルティングに1-0で勝利。エル・サールのゴールでリードしてからはボールを繋いで安全に時間を使うサッカーができており、内容的には快勝だった。その試合のMVPジョナタン・ビエラを今週末のキーマンにしたい。アシストだけでなく華麗なヒール、“ソンブレロ”(ボールを相手の頭上に浮かせかわすプレー)とファンタスティックなプレーでファンを沸かせた。

 アトレチコ・マドリーは堅実なサッカーで地力の差を見せ付けエイバルを2-0で破った。ホームにベティスを迎える今週末も連勝し上位進出のきっかけにしたいところだ。負傷のチアゴに代えてセンターバックのヒメネスをボランチで起用した采配は、シメオネ監督が守備重視のサッカーをしていくことの意思表示だった。失点を防ぐことができればグリーズマン、ガメイロ、フェルナンド・トーレスの強力な攻撃陣がいつかは爆発する、というプランである。自ら仕掛けていくサッカーではなく受け身ではあるが、この原点回帰こそ信頼回復の近道だろう。キーマンは、後半は無難に新しいポジションをこなしたヒメネスにしたい。

 ベティスはビクトル新監督になって明らかに良くなった。好転の理由は2つ。1つはルベン・カストロを中央に戻し、ゴール感覚を取り戻させたこと。もう1つは気まぐれなセバージョスを使いこなしてレギュラー化したこと。2-0で勝利した先週末レガネス戦の先制点はセバージョスのアシストでルベン・カストロが決めたもの。これによりルベン・カストロのシュート、セバージョスのパス、ホアキンのドリブルとチームの核ができた。キーマンには、心を入れ替え持ち前のタレントを発揮するようになったセバージョスを選びたい。

出場している時間で決定的なプレーを見せた乾(写真:Getty Images)

アベラルド監督の進退が懸かるヒホン

 ヒホン対エイバルには、ヒホンのアベラルド監督の進退が懸かる。ヒホンは前節ラス・パルマスに敗れ、12月4日に2カ月半ぶりに勝利した良い流れが再びネガティブに変わってしまった。ここ数試合アベラルドが採用している5バックは守備を安定させたものの、攻撃も同時に無力化し改善策とはなっていないが、それでもロースコアゲームに持ち込むしか勝機は見えない。相手のエイバルにはコパ・デルレイで2連敗したばかりと相性も悪い。前節決定的な2本のヘディングシュートを外したビクトル・ロドリゲスが得点を挙げれば、ホームの声援を味方にできるのだが……。

 アトレチコ・マドリーに敗れたエイバルは、前半は何度も決定機を作るなど内容は悪くなかったが、後半尻すぼみになる悪い癖が出た。出足の良いチームで知られるが、それは終盤での息切れとセットになっている。乾貴士も悪くなかった。彼が前を向いてボールを持つと決定的なプレーをする。相手右サイドバックが前半だけで交代させられたのは、それだけ乾が良いプレーをしていたからなのだが、途中交代させられてしまった。乾が後半ボールに触れなかったのは事実。だが、それは彼個人のせいというより、周囲のアドリアン、ルナのせいでもあった。メンディリバル監督の信頼は失っていないはずで、今週末も先発するだろう彼を先発から外れるまではキーマンに選び続けたいと思う。

 デポルティボ対ビジャレアルは、先週末引き分けた者同士の顔合わせ。どちらも先制した末に追い付かれたから“勝ち点2を失った”という後味の試合だった。デポルティーボは引いてきたエスパニョール相手に主導権を握るプラン、逆にビジャレアルはバルセロナに対し引いてショートカウンター狙いというプランがいずれも的中した。今週末もホームのデポルティボがボールを支配し、ビジャレアルがカウンターを仕掛けるという展開になるはずだ。キーマンはデポルティボがエムレ。エスパニョール戦ではサイドで使われ本領発揮とはいかなかったが、本来はセカンドトップあるいはトップ下で生きるタイプ。ポジションも含めて注目したい。ビジャレアルの方は先週に続きパト。先制点での味方の攻め上がりを待つドリブルと相手を引き付けての絶妙のアシストは見事だった。

《文=木村浩嗣》

スペイン・リーガエスパニョーラの生放送予定

リーガエスパニョーラ第18節

・バルセロナ vs ラス・パルマス
 1月14日(土) 深夜0:00〜(生中継 WOWOWライブ
・アトレチコ・マドリード vs ベティス
 1月14日(土) 深夜2:20〜(生中継 WOWOWライブ
・デポルティーボ vs ビジャレアル
 1月15日(日) 朝4:35〜(生中継 WOWOWライブ
・スポルティング・ヒホン vs エイバル(乾貴士)
 1月15日(日) 深夜2:15〜(生中継 WOWOWライブ
・セビージャ vs レアル・マドリード(清武弘嗣)
 1月16日(月) 朝4:35〜(生中継 WOWOWライブ

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