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17/01/10【リーガ】敵将シメオネをも恐れさせた乾貴士のドリブル突破

スペイン代表DFファンフランと競り合う乾(写真:Getty Images)

相手DFを翻弄した乾のドリブル

 強豪アトレチコ・マドリーをホームのイプルアに迎えた8位のエイバル。MF乾貴士が先発した前半から積極的にアトレティコ陣内へと攻め込むが、あと一歩のところで阻まれるシーンが続くと、後半にショートコーナーからMFサウール、さらには鮮やかなワンツーからFWアントワーヌ・グリーズマンに効率よく得点を重ねられる形で0-2の敗戦を喫した。

 この試合で乾は立ち上がりこそ4-2-3-1の右ウイングに位置したが、数分で従来通りの左にポジションを移すと、エイバルの起点として多くのチャンスに絡む。実はこのサイド、寒さのためピッチの芝が凍結し、見た目にも白いアイスバーンの様な状態になっていたのだ。しかし、乾はそんなこともお構いなしに、ボールを持っては対面するDFシメ・ヴルサリコを翻弄した。

 左ワイドでパスを受け、そこから中に切り込みながら左前方に流れたトップ下のFWアドリアン・ゴンサレスに通したシーンは乾のテクニックを生かすチームの狙いが表れている。さらにセカンドボールから追い越す味方を使ってマイナスクロスを演出するなど、乾はチャンスの起点となった。29分には味方のサイドチェンジパスから鋭いドリブルを仕掛けてヴルサリコに倒され、イエローを誘発した。

 現地でも大きな話題を呼んだシーンはその2分後に生まれた。中央から展開されたボールを受けたアントニオ・ルナがライン際の乾に預けると、同サイドの2枚が寄せて北ところで中に切り込む素振りから右足のインサイドカットで縦に突き抜ける。そしてボランチのポジションからカバーにきたアトレティコの主将ガビの股下に、左足の柔らかいタッチでボールを通して突破したのだ。直後のクロスが精度を欠いてしまったが、乾のテクニックとアイディアが凝縮されたプレーだった。

 ただ、その乾も含めて前半に多くのチャンスを作りながら、最後の精度を欠いたことがエイバルの課題を露呈している様でもあった。前半を何とかしのいだアトレティコのディエゴ・シメオネ監督はヴルサリコを下げ、経験豊富なスペイン代表DFファンフランを投入。すでに1枚カードをもらっていたヴルサリコの退場を恐れたことも理由だったとシメオネ監督は明かしたが、敵将が真っ先に乾のケアを考えたことは確かだ。

 後半も乾は左ワイドからクロスを放つなど何度か攻撃に絡んだが、やや存在感を失った68分にベベと交替された。エイバルのホセ・ルイス・メンディリバル監督にとって今年最初の交替カードとなったが、乾のプレーには上々の評価を示している。守備のタスクもこなしながら、ボールを持てば特徴を発揮している乾にはチームメートの信頼も増している様子だが、ゴールやアシストという結果が求められるポジションでもある。

 現在のパフォーマンスであれば引き続き出場チャンスを得られるはず。そこで自身の良さを発揮しながら結果を積み上げていけるか。さらなる活躍を期待したい。

《文=河治良幸》

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