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17/01/02【週刊 本田圭佑】16/17シーズン前半戦総括

ASローマ戦に出場した際の本田圭佑(写真:Getty Images)

 4カ月前、このような状況を予想した人はいただろうか。ミランにとって、2016-17シーズン前半戦はこれ以上ない出来となった。対照的に、本田圭佑にとって今季はイタリアに来てから最悪のシーズンとなっている。

 年内最終戦となった23日のスーパーカップで、ミランはユヴェントスをPK戦の末に下し、約5年ぶりとなるタイトルを獲得した。

 先制を許しながらも追いつき、以降は王者を押し込むという試合展開や、PK戦という極限のプレッシャーに負けなかったという事実は、大きな自信につながるはずだ。これが初タイトルという若手も少なくないミランだけに、ターニングポイントになるかもしれないとの印象を強めた一戦だった。

 消化が1試合少ないセリエAでも、現在5位と飛躍を遂げたミラン。その最大の功労者がヴィンチェンツォ・モンテッラ監督であることは言うまでもない。スソやエムバイェ・ニアン、マッティア・デ・シリオ、アレッシオ・ロマニョーリといった若手の自信を深め、ガブリエル・パレッタを復活させ、マヌエル・ロカテッリを抜擢した指揮官の存在なしに、今季のミランの躍進はなかっただろう。

 だが、そのモンテッラ監督のもとで、本田の存在感は下落の一途をたどった。開幕から2カ月、ウディネーゼ戦とラツィオ戦で終盤から途中出場しただけに終わり、まったくチャンスが与えられない。ようやくスタメン出場の機会が訪れたのは、第10節ジェノア戦だった。

 そしてこのジェノア戦で、本田は決定的な「失格」のらく印を押されてしまう。オフサイドラインのコントロールミスで先制点を許すきっかけをつくるなど、背番号10はファンからもメディアからも酷評された。直前のユヴェントス戦で勝利し、チームとサポーター、メディアまでも沸いていたことも悪く働き、「選手層の薄いミラン」の“戦犯”のように本田は扱われた。

 当然、出場機会は再び遠のく。10月末からの1カ月4試合は、1分もプレーできず。否定する本人の弁が空しく聞こえるほど、試合勘の衰えは顕著になり、日本代表でも本田はついにスタメン落ちすることになった。それも、ワールドカップ最終予選のサウジアラビア戦という大一番で。

 もちろん、長いシーズンだけに、まったくピッチに立つことがないわけではない。12月に入り、第15節クロトーネ戦では81分から5戦ぶりとなるチャンスを与えられ、チームを勝利に導いたジャンルカ・ラパドゥーラの決勝点をお膳立てした。

 主要メディアからはたいして評価されなかったが、軌跡を残したことに違いはない。試合前後にモンテッラ監督が会見で本田に賛辞を寄せたこともあり、状況が好転することも期待された。実際、続くローマ戦でも本田は84分からではあったが今季初めて2試合連続で出場機会を手にする。だが、あまりに短い時間に、今度は何も見せることができなかった。

 そして、この2試合連続出場も、結局はチーム状況によるものだったのだろう。ニアンの不振に加え、ジャコモ・ボナヴェントゥーラが負傷離脱していたことで、本田を左ウィングに起用するという苦肉の策だったのだ。ボナヴェントゥーラが復帰したアタランタ戦、そしてスーパーカップと、本田は再びベンチを温めるだけだった。

 公式戦18試合で出場5試合、プレー時間95分(アディショナルタイム除く)、スタメン出場はわずか1試合。不本意という言葉では足りないほどの数字だ。風当たりが強くなるのは避けられない。

 以前、本田自身は契約が最終年を迎えていることを現状の一因に挙げた。実際は分からない。だが、ミランでの残り時間が少なくなっているのは事実だ。少なくとも、ファンとメディアは契約が残り半年となった本田をすでに「いなくなる選手」と扱っている。飛び交うのは移籍のうわさばかりだ。直近でもMLSやサンダーランドからの関心が報じられた。すでに焦点は「ミランから移籍するかどうか」ではなく、「いつミランを去るのか」にシフトしている。

 本田はかつて、日本のテレビのインタビューで「人が体験したことのないぐらいの谷を経験した人間だけが高い山に登れるという哲学がある」と発言した。この大きな「谷」も、本田自身は次の「山」につなげようとしているはずだ。だが、その山があるのは、イタリアではないかもしれない。

《文=J:COMサッカー編集部》

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