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16/12/28【週刊 清武弘嗣】9月をピークに急下降していった前半戦

シーズン開幕直後、大きな期待を集めた清武だったが…(写真:Getty Images)

言語と代表招集のハンディ

 MF清武弘嗣の今季は、7月の疑問を8月に吹き飛ばし9月初めに頂点に達した直後、急落下して二度と浮上することはなかった、と描写できるだろう。

 入団時の疑問とは、ホルヘ・サンパオリ新監督が欲した選手ではなかった点とサッカーと生活の適応の問題だった。いずれもモンチ、スポーツディレクターは楽観的だったが、結局はそれら2つの疑問が代表招集による空白もあって現実化し、冬の移籍市場で放出が確実視される今の状況を呼んだと思う。8月のUEFAスーパーカップ、スペインスーパーカップの先発メンバーに清武が名を連ね、リーガ開幕戦のエスパニョールとの試合で1ゴール、2アシストの衝撃デビューを飾った時には、まさかそのわずか4カ月後にこんなことになるとは想像もつかなかった。

 だが、おぼつかないスペイン語で理解できるほどサンパオリのサッカーはシンプルではなく、センスだけで説得できるほどサンパオリの頭も単純ではなかった。選手名を見ただけでは並びがわからない複雑なフォーメーションで、ボールの位置と相手と味方の位置、試合の状況によって最適なポジショニングとプレーを選択しなければいけないとなると、言葉のハンディは大きかった。チームメイトとはボールでコミュニケーションできても、監督とはそういう訳にはいかない。清武獲得後にサンパオリが獲得したのがスペイン語話者か、同じラテン語圏の選手だったことは象徴的だ。清武がプレースタイル面で見ればサンパオリ好みだったことは8月の使われ方を見れば明らかだが、彼の哲学を浸透させるためには言葉の壁がある清武は、欲しい選手ではなかったことも確かである。

 サンパオリは英語ができない。そんなことで時間や気を使うつもりはない。通訳を付けないクラブの選択も清武のケースに関してはマイナスだった。自分が要求するプレーができていないと判断したサンパオリは、ポジションと役割が重なっているMFサミル・ナスリの調子が上がって来ると、あっさりとそちらに乗り換えた。ナスリのシーズンは最悪の形で始まり、最高の形で年を終えた。清武とは真逆である。

 さらに悪いことに清武には代表招集というもう一つのハンディがあった。

 長旅の疲れは直後の試合に出なければ解決されるが、約10日間チームと練習できないハンディは取り返しがつかない。その空白期間を清武は8月末、10月初め、11月初めと3度経験し約30日間の練習を失っている。週2回ペースで試合をするセビージャのようなチームでは、代表招集で試合がない間に日頃できない戦術練習をまとめてするのが普通だし、時間をかけてチームメイトや監督の交流を深める機会でもある。つまり、名誉である代表招集が、言葉ができないハンディを集中的な練習とプレー経験でカバーする機会を奪っていたことになる。

 清武は持ち前のサッカーセンスと勘の良さでサンパオリのいち早くサッカーを理解し良いスタートを切った。だが、そのスタートダッシュによるリードを言葉と練習不足の2つのハンディによってすぐに失い、一度抜かれた後はチームメイトとの差もサンパオリとの思惑の差も開く一方だった、というのが前半戦のまとめである。よりプレースタイルが単純で、清武を欲した監督で英語話者でもあるウナイ・エメリ前監督だったら状況は全然違っていただろうが。

 後半戦に向けての明るい材料は、ナスリやMFフランコ・バスケスの負傷を待つのでなければ、移籍以外には見えてこない。選手登録枠を空ける必要もあって清武が放出候補ナンバー1になっているのは、置いて行かれる一方の現状からするとむしろ歓迎すべきこと。セビージャが冬の移籍市場で2人(FWとDF)を補強しないのであれば、このまま出番がないままシーズンを終了する最悪のシナリオもあり得た。サンパオリの目の前でアピールでき活躍が確実に実績になるリーガのチームへの移籍の報を待ちたい。

《文=木村浩嗣》

スペイン・リーガエスパニョーラの生放送予定

リーガエスパニョーラ第17節

・レアル・マドリード vs グラナダ
 1月7日(土) 夜8:50〜(生中継 WOWOWプライム
・エイバル vs アトレチコ・マドリード(乾貴士)
 1月7日(土) 深夜0:00〜(生中継 WOWOWライブ
・ソシエダ vs セビージャ(清武弘嗣)
 1月8日(日) 朝4:30〜(生中継 WOWOWライブ
・ビジャレアル vs バルセロナ
 1月9日(月) 朝4:30〜(生中継 WOWOWライブ

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