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16/12/23【週刊 清武弘嗣】セビージャ放出が決定的な日本代表MFに足りないスピードとメンタリティ

フォルメンテーラ戦にフル出場したが、状況は変わらず…(写真:Getty Images)

新天地はスペインか、ドイツか

 21日年内最後の試合、コパ・デルレイ、フォルメンテーラ戦後の記者会見に出たが質問すべきことがなかった。MF清武弘嗣は予想通り先発で90分間プレーしたのだが……。

 これまでサンチェスピスファンで清武が試合に出た後にはホルヘ・サンパオリ監督に必ず質問をしてきた。「清武のプレーをどう評価するか?」「清武が出られないのはなぜか?」「代表招集が清武を不利な立場にしているのか?」……。サンパオリはその度に本音を交えて答えながらも、最後は「今後はチームの一員となってやってくれるはずだ」という希望的な観測で締めくくるのだった。

 控え組がレベルアップすることはチーム内競争を高めチームを強くするから、それを望まない監督はいない。清武が戦力化することはサンパオリの願いであることは疑いない。だが、チームの事情は別のところにある。FWとDFの補強にクラブはすでに動いている。この夜の会見でサンパオリは彼自身がFWカルロス・テベスに連絡を取ったことを認めた。結果は断られたが、もしアルゼンチン国籍のテベスが説得に応じていたらその時点でEU外選手枠を空けるために清武の放出が決定していた。フォルメンテーラ戦はアピールのチャンスではあったが、勝ち抜けが決定していた試合(第1レグで1-5勝利)で3部リーグのチーム相手にいくら好プレーを見せても、冬の移籍市場に打って出るクラブ戦略は不動。この試合でFWルシアーノ・ビエットとFWウィサム・ベン・イエデルはともにハットトリックの計6得点を決めたが、それで“FWの補強は不要”とはならない。サンパオリに“清武の活躍をどう思うか? 放出の考えを改めるのか?”と聞いてもしょうがないのだ。

 清武は放出候補であり、放出先はドイツまたはリーガの別クラブ(デポルティーボ?)。レンタルで国内のクラブに出てスペインのサッカーと生活に適応するのがベスト。セビージャでのベンチ生活よりもドイツ行きの方がベターだが、それはセビージャ復帰の道を開くことにはならない、という前回のコラムで書いた状況は変わっていない。

 よって今回はフォルメンテーラ戦での清武のプレーについて書く。彼のクオリティの高さは承知しているがあえて厳しいことを言う。

 プレーぶりを見て思ったが、清武はやはり日本人なのだ。従順で周りを立てる。清武とのライバル意識を剥き出しにして、清武にパスを出さず目立とうとしていたMFパブロ・サラビアとは違う。だが、サラビアのプレーぶりは強引で我がままだったが、目立つことはすなわちアピールなのだ。サラビアはサイドで清武はボランチというポジションの違いが、清武をより慎重にさせていたのは確かである。しかし、前やサイドでボールをもらえた時でも清武の自分よりも他人を優先する“人の良さ”は変わらなかった。

 CKやFKではサラビアが寄って来た時にキッカーを譲っていたが、“俺が蹴る”でいいのだ。逆の立場ならサラビアは決して譲らなかっただろう。スペイン人に限らず外国人はみんな我がままである。この国はシュートを撃たない国ではなくて、フリーの味方にパスを出さない国なのだ。

 後半MFホアキン・コレアが退き、MFボルハ・ラソがボランチに入り清武は右サイドへ出た。MFガンソやMFマティアス・クランビッテルとのコンビでサイドから突破しセンタリングするなど、ゴールに近い仕事もすることができた。が、この交代とポジションチェンジで見ている者の印象に残ったのは、22歳の若造ボルハ・ラソの方だった。跳ねるようなきびきびとした躍動感、パスの呼び込み方やもらい方はレアル・マドリーのMFルカ・モドリッチを彷彿とさせた。清武は躍動感をワンタッチパスで表現するが、ボルハ・ラソは動き方やジェスチャーで表現する。“俺に出せ”と全身で言っている。わずか40分間ほど見ただけだが間違いなくトップチームに定着する選手だと確信した。

 この試合に限らず清武のプレーでずっと気になっていることがある。それは遅さである。

 パススピードはもっと速くて良い。リーガレベルの選手ならもっと強いパスでも簡単にトラップできる。弱くて遅いパスだからボールロストが多くなる。それと、ダッシュはもっと速くならないものか。パスコースを作るのとプレスに入るのがワンテンポ遅く、それがボールに絡む際の致命的な欠点になっている。パスの方は遠慮もあるのだろう。ダッシュの方はもともと瞬発力に欠けるのか、迷いによるものかはわからない。

 スペイン的なメンタリティを身に着けるのも適応の一つであり、その点でもセビージャのチームメイトよりも劣っている。清武のためにもスペイン内の新天地での活躍をクリスマスの願いとしたい。

《文=木村浩嗣》

スペイン・リーガエスパニョーラの生放送予定

リーガエスパニョーラ第17節

・レアル・マドリード vs グラナダ
 1月7日(土) 夜8:50〜(生中継 WOWOWプライム
・エイバル vs アトレチコ・マドリード(乾貴士)
 1月7日(土) 深夜0:00〜(生中継 WOWOWライブ
・ソシエダ vs セビージャ(清武弘嗣)
 1月8日(日) 朝4:30〜(生中継 WOWOWライブ
・ビジャレアル vs バルセロナ
 1月9日(月) 朝4:30〜(生中継 WOWOWライブ

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