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16/12/23【週刊 長友佑都】厳しいポジション争いにも気遅れはなし、後半戦で巻き返せるか

新監督就任後、ベンチスタートが続く長友(写真:Getty Images)

ラツィオ戦は途中出場に

 18日のサッスオーロ戦で、インテルのDF長友佑都の出場はなかったとなった。DFクリスティアン・アンサルディが出場停止明けとなり、左サイドバックに復帰。現在のところステファノ・ピオーリ監督の中では、アウトサイドのファーストチョイスは技術が高く器用なアルゼンチン人のファーストチョイスとなっているようだ。試合は、FWアントニオ・カンドレーバのゴールで1点を挙げ、それを守りきって勝利。ディフェンスラインは、前の試合に続いて無失点だった。

 守備の上で特筆すべきだったのは、サッスオーロと対戦するにあたって4バックに変更してきたことだ。一つのシステムに固定する意思はないということをピオーリ監督は表明していたが、その通りに使い分けてきた。確かに、3トップを敷くサッスオーロに対しては3バックだと後方の枚数が余らず、守備のバランスが取りにくい。もっとも左サイドのDFアンサルディも、またDFダニーロ・ダンブロージオの守る右サイドも頻繁に裏を取られてはいたが、結果的に彼らはゼロで守りきった。

 ピオーリ監督は長友も選択肢として考慮し、起用を模索していたようである。現に後半中頃からアップを命じられ、ジャージを脱いでペースを上げていたところだった。ただ、選手交代のプランはギリギリになっても変わることがあるし、特にピオーリ監督は様々な選択肢を準備してピッチ上の変化に対処するタイプである。その結果、他の選手の投入が優先された。

 ディフェンスラインは連係が重んじられるため、一旦固まれば動かしにくい。現に21日のラツィオ戦では、出場停止となったMFフェリペ・メロとMFジョアン・マリオの代わりにMFジョフレイ・コンドグビアとMFエベル・バネガが入り、他に変更はなかった。アンサルディを中盤に回して左に長友を使う布陣もテストしていたという現地報道もあったのだが、蓋を開けてみればまたもベンチスタートだった。

 しかし腐ってはいけない。控えからアピールをする立場にとって肝心なのは、呼ばれた時に準備を整えることだ。前半はラツィオが良いサッカーを展開し、アンサルディはMFフェリペ・アンデルソンのスピードにやや苦しむ。そこで長友は、後半開始早々からアップを命じられた。チームは2点を奪ってリード成功するが、アンサルディが相手をファウルで倒してイエローカードを喰らい、一方でラツィオのシモーネ・インザーギ監督は59分にFWケイタ・バルデ・ディアオを投入する。それを見てピオーリ監督は、長友を呼んだ。「すごく速い選手がいたんで、監督に『しっかりそこをケアしてくれ』と言われた」彼は、チーム一人目の交代要員としてアンサルディの代わりに左サイドバックの位置に入った。

 その直後にケイタに体をぶつけられてエリア内への突破を許すが、あとは無難に対応する。裏を取られる前に立ちはだかり、堅実に相手の突破を抑えた。そして攻撃では、前方にいるMFイバン・ペリシッチとの連係でチャンスを作る。73分、味方がこぼしたボールを中盤の高い位置へ飛びしたしてキープすると、そのまま対面の選手の裏を取って前に出ようとしたペリシッチにパスを出し、攻撃を加速させる。83分にはペリシッチとのパス交換から裏のスペースへ飛び出し、サイドを深く破って左足でクロス。これをFWロドリゴ・パラシオが落としてFWマウロ・イカルディに渡るが、イカルディのシュートはポストに弾かれた。

 途中出場からインテルが3点リードし、相手も意気消沈しているのでハプニングが起こる余地は少なかった。とはいえ、速いウインガーを備えるラツィオに巻き返しを許さなかったという点で、長友の貢献も地味ながら重要だった。試合後ピオーリ監督は「今日出場させた選手たちに私は大きな信頼を寄せている」と語ったが、途中出場の長友にも一定の評価はしているということなのだろう。ただ今のところ左では、より攻撃的なアンサルディがファーストチョイスとなっている。「チャンスがあったら良いタイミングで上がりたかった」と長友は試合後に語っていたが、攻撃面でのアピールも意識していたのかもしれない。もっとも、厳しいポジション争いについて気遅れはない。「ポジション争い?それは厳しいでしょう、いい選手いますから。厳しい戦いが続けくけど、僕自身は楽しんでいます」と長友はことも無げに語っていた。後半戦で巻き返しはなるか。

《取材・文=神尾光臣》

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