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16/12/13【セリエAレポ】移籍話が浮上の長友佑都。ライバル出定停止のチャンスにアピール

アンサルディの出場停止でチャンスを得た長友(写真:Getty Images)

リーグ戦6試合ぶりの先発で存在価値を証明

 イタリアのセリエAは第16節が行われ、インテル・ミラノはホームのジュゼッペ・メアッツァにジェノアを迎えた。昨季ラツィオを率いたステファノ・ピオリ監督が就任して3試合目となるインテルはDFのクリスティアン・アンサルディが出定停止。その代わりに公式戦4試合ぶり、セリエAでは10節のトリノ戦以来となる先発チャンスを得たのが長友佑都だった。

 濃い霧が立ちこめる中で、3-4-3の左サイドハーフを任された長友は中央のマルセロ・ブロゾビッチ、左ウィングのロドリゴ・パラシオと連係しながら縦に駆け上がり、同じく3-4-3を用いるジェノアで対面の関係にあるMFダルコ・ラゾビッチに対して有利な状況を作り出した。高い位置まで駆け上がったところで味方がボールを失い、カウンターを狙われそうになったが、FWのエデルが咄嗟にカバー。そうした助け合いの意識はピオリ監督の掲げる組織的なスタイルそのものだ。

 3バックのビルドアップをベースに全体を押し上げる攻撃において、左の長友はパスを受け、ショートパスを戻す。そして周囲の状況を見極めながら前のパラシオに縦パスを付けたり、あるいは3トップの中央に張るエースのマウロ・イカルディに浮き球のミドルパスを送る。ボールを触る回数はかなり多く、そこでうまく起点ができれば素早く駆け上がってチャンスに絡むシーンが目立った。

 ジェノアもどちらかと言えばグラウンダーのパスをつないで流動的に攻め上がるスタイルだが、インテルはボールに対してタイトな組織を作り、攻撃陣が突こうとするスペースを埋め、最後は強引なパスや仕掛けをカットする。その中で長友は高い位置でラゾビッチを抑えるだけでなく、左CBのムリージョがワイドに流れて相手FWをマークすれば、CBのポジションに下がってゴール前をカバーした。

 いい流れで試合を進めたインテルは38分に先制ゴールを決める。イカルディのシュートがブロックされて得た右のCKをジョアン・マリオが入れると、競り合いのこぼれをブロゾビッチが右足で豪快に蹴り込んだ。後半には52分にパラシオとの交替で入ったイバン・ペリシッチが縦の推進力を発揮し、それを長友が背後からサポートする。そして逆サイドからクロスが上がればゴール前に走り込んで前線に厚みを付けるなど、前体制よりコレクティブな戦術に乗じて積極的に絡むシーンは印象的だ。

 試合をコントロールし続けるインテルだが、68分には中盤のミスからラゾビッチに左サイドの裏を突かれる最大のピンチを迎えた。長友が背走から並走状態に持ち込み止めにかかるが、トップスピードのままゴール前にショートクロスを出され、GKのサミル・ハンダノビッチもニアにつり出された状態で、ボールの行方を見送るしかなかった。しかし、ボールはゴール前に詰めるFWジョバンニ・シメオネの目の前を通り抜けた。

 インテルの追加点が生まれたのは直後の69分だった。ジェノアが前掛かった状況でブロゾビッチからタイミング良く縦パスを引き出したジョアン・マリオがDFの間を突破する。ゴール前に走り込むイカルディにディフェンスが引っ張られて生じたペナルティスポット付近のスペースにブロゾビッチが侵入し、ラストパスを受けて右足でゴールに叩き込んだ。

 そのままインテルが2-0で勝利し、暫定8位に浮上。試合終了までピッチ上の霧は晴れなかったが、チームには明るい視界が開けてきた様だ。長友はフル出場で勝利に貢献。カウンターで同サイドを使われるなど危ないシーンもあり、この1試合でアンサルディとの序列を逆転させることができたとは言いがたいが、移籍の噂もあがるインテル在籍7シーズン目の日本代表DFが改めて存在価値を証明する試合になったことは確かだ。

《文=河治良幸》

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