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16/12/09【週刊 本田圭佑】指揮官の称賛は売却へ向けた動きか、それとも…

出場機会を得た本田は、セットプレーからゴールにも絡んだ(写真:Getty Images)

10月以来のリーグ戦出場

「私が知る中で5本の指に入るほど模範的なプロフェッショナルだ」。4日のセリエA第15節クロトーネ戦を控えた前日会見で、ビンチェンツォ・モンテッラ監督はMF本田圭佑をこう称賛した。そして試合では、1カ月以上ぶりに本田を起用した。流れは変わりつつあるのだろうか。

 12月のミランは第16節で2位ローマとのアウェーゲームに臨み、第17節で10戦1敗と絶好調のアタランタと対戦する。年内最終戦ではスーペルコッパでユベントスとタイトルを競うというハードスケジュールだ。そんな12月の初戦となるクロトーネ戦は、格下相手に確実に勝ち点3を積み重ね、勢いをつけたい一戦だった。

 だが、ミランは先制を許すと、同点に追いついたものの、FWエムバイェ・ニアンがPKを失敗。リードを奪えないまま終盤を迎えた。当然、ミラン陣営や本拠地サン・シーロの観客にはいら立ちが募る。そんな状況だった81分、モンテッラ監督が精彩を欠いたニアンとの交代でピッチに送り出したのが、背番号10だった。勝つための一手だった。

 本田のリーグ戦出場は、今季初先発のチャンスながら失点に絡み、惨たんたる出来で酷評された10月25日の第10節ジェノア戦以来。いつもと逆の左サイドに投入された背番号10は、うっ憤を晴らすかのように積極的な姿勢をみせる。わずかな時間でも何かを残したい、そんな気持ちがプレーに現れた。

 そして86分、本田は左サイドでボールキープからファウルを誘ってFKを獲得。自らプレースキッカーを務める。左足から放たれたボールはクロトーネ守備陣に阻まれたが、こぼれ球を拾ったFWジャンルカ・ラパドゥーラが押し込んだ。ミランは土壇場で勝ち点3を手に入れたのである。

 直接のアシストではなく、10分程度のプレーだったこともあり、現地大手メディアの多くは本田を「採点なし」と評価した。それでも、決勝点に絡んだことは事実だ。実際、及第点をつけたメディアもある。モンテッラ監督も試合後、「逆の左サイドだったが気に入った」とたたえた。

 試合前後の会見での賛辞、そしてクロトーネ戦での起用ぶりからは、モンテッラ監督が本田に一定の評価を下しているとの印象を受ける。これまでの指揮官たちのように、本田の模範的な姿勢に満足しているのは確かだろう。

 だが、それが絶対の評価でないことも明らかだ。クロトーネ戦で出場機会が回ってきたのは、ニアンの不調やジャコモ・ボナベントゥーラの不在という要素もあってのこと。そしてボナベントゥーラの復帰は近い。結局のところ、十分な出場機会を得られない状況は続く可能性が高いのだ。

 そうなれば、やはり1月移籍が注目される。拍車をかけるように、身売り完了延期の知らせも届いた。年内で完了予定だったクラブ売却が、3月まで延期されることが正式に決まったのだ。これにより、ミランは1月のマーケットでチャイナマネーに期待できなくなる。補強資金を得るには現戦力の売却・放出が必要となり、本田はその候補の一人と報じられている。

 11月、ミランで本田が話題になることはほとんどなかった。それだけに、指揮官が日ごろの取り組みを称賛し、5試合ぶりに起用したのは、売却のための戦略という見方もある。一方で、本田自身も先月、「ミランにしがみついているわけじゃない」と退団を示唆したのは周知のとおりだ。

 久しぶりの試合で最低限の働きはした。だが、1月移籍説はなくなっていないというのが実際のところだ。とはいえ、サッカー界では一寸先は闇。何がどうなるかは分からない。昨季も、本田が指揮官の評価を得てレギュラーの座を奪い返したのは、年末からだった。次節のローマ戦でもしも再びチャンスを手にし、結果を残したら…。

《文=J:COMサッカー編集部》

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