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16/12/01【週刊 長友佑都】戦術に基づき、柔軟に選手を変える新監督の評価は?

ミラノダービーに途中出場した長友(写真:Getty Images)

新監督就任後3試合中2試合に出場

 ミラノダービーでは途中出場。2ゴールを決めていたFWスソを抑えて土壇場の同点劇に貢献し、24日のELハポエル・ベエルシェバ戦では先発フル出場を果たす。しかしチームは2点のリードからまさかの逆転負けを喫してEL敗退、続く28日のリーグ戦フィオレンティーナ戦では再びベンチスタートとなる。これが、ステファノ・ピオーリ監督就任後3試合でのDF長友佑都の歩みだ。あちこちで日本人選手が定位置を失うおり、やっぱり長友も新監督からの評価を落としたのかと思われるかもしれないが、それはやや感情的な見方ではないだろうか。

「私には信頼の置けるサイドバックたちがいる。ユウトを使うこともできた」。フィオレンティーナ戦後、ピオーリ監督はそう語った。だが右サイドバックにはダニーロ・ダンブロージオ、左はクリスティアン・アンサルディという選択。ただそれも、「試合の特質に合わせたもので、ロジカルな選択だったと思っている」と説明していた。確かにその選択には単なる序列に基づいた考えではなく、明確な戦術上の意図があることははっきりと見て取れた。

 パウロ・ソウザ監督のフィオレンティーナは、表記上4-2-3-1のシステムに見えてもその通りには動かない変則的なもので、ピオーリ監督はそれに合わせるような戦術をとった。そして、それがサイドバックの人選にも影響したということだ。右サイドのダンブロージオ起用は、FWフェデリコ・ベルナルデスキをマンマークで抑えるため。フィオレンティーナの左サイドにいるベルナルデスキは、攻撃時には中へと絞ってエリア内に切り込んでくるが、インサイドに絞らせてその動きを潰すにはダンブロージオが適任と判断した。その一方でフィオレンティーナの右サイドは、逆にFWクリスティアン・テージョ一人がウイングバック気味に張る。これは攻撃的なDFクリスティアン・アンサルディをぶつけて、高い位置で押し込もうという算段だ。裏を取れば守備には穴があるため、アンサルディはこのエリアを使って2ゴールに絡んでいる。

 ピオーリは戦術に基づいて柔軟に選手を変えるタイプで、よっぽど替えの効かないポジションでなければ選手の固定はしない。この日は、ELに出なかったはずのMFジョアン・マリオも先発から外されていた。したがって、長友にもチャンスは遠からず巡ってくるだろう。実際、ピオーリ監督は途中出場から長友を使おうとしていた節があった。後半開始早々からアップを命じられ、一旦10分ほどでベンチに下げられるも63分から再びアップへと出された。ところがその直後、インテルの中盤はMFヨシップ・イリチッチを逃してシュートを決められてしまう。ピオーリ監督は直ちに考えを変え、中盤の守備の修正を図るべくMFフェリペ・メロをアップさせることにした。ベンチ脇では3人までしかアップできないルールになっているため、長友は再び呼び戻された。

 結局出番はなかったが、それは試合の流れも影響してのものだ。ともかくピオーリ監督がフィオレンティーナ戦でも起用を検討したということは、長友も一定の評価はされているということだろう。ハポエル・ベエルシェバ戦のパフォーマンスも決して悪くなかった。意気消沈するチームに埋没して最後は少し崩れたが、堅実にサイドの守備を固めて相手に侵入をさせず、MFマルセロ・ブロゾビッチのゴールにつながるカウンターも長友のボール奪取がきっかけとなっていた。

 もっとも裏を返せば、今のところ替えが効かないほどアンタッチャブルな存在ではない、という意味にも解釈しうる。左サイドで言えば、攻撃力ではアンサルディに分があるという評価になっているのかもしれない。いずれにせよ肝心なのは、次に使われるときにどういうプレイができるか。まずはプレゼンスが勝利につながることを目指して、評価の確立を目指して欲しいものである。

《取材・文=神尾光臣》

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