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16/11/27【週刊 本田圭佑】大舞台でもベンチを温めた背番号10

ミラノダービーという大一番でも出場機会がなかった本田圭佑(写真:Getty Images)

 ミラノダービーという大舞台でも、本田圭佑の出番はなかった。

 負けることのできないワールドカップ予選のサウジアラビア戦という大一番でスタメンから外され、日本代表でもポジションの危機が騒がれながらイタリアに戻ってきた本田は、ミランでも今季これまで何度も味わってきた状況に再び直面した。ベンチスタートだ。

 ミランにとって、今回のダービーは不思議な雰囲気の、負けられない一戦だった。クラブ売却完了を翌月に控えるシルヴィオ・ベルルスコーニにとって、オーナーとして最後のダービーとなる可能性が高いからだ。ゴール裏のウルトラスは、30年にわたってミランを率い、数々の栄光をもたらした名物会長を称賛すべく、見事なコレオグラフィーをささげた。

 一方、ライバルのインテルにとっても、負けられないダービーだった。ステファノ・ピオリ新監督の初陣だったからだ。新指揮官にとって、理想的な状況ではないだろう。だが、ダービーは不思議なもので、下馬評で不利と言われたチームが勝利した例も少なくない。ロベルト・マンチーニ元監督も、一昨季途中に就任した際、初戦がミラノダービーだったが引き分けている。

 そしてそのとおり、試合はインテルペースで進みだした。オランダ人指揮官のもとで迷走していたインテルは、新たなイタリア人監督の指導で生まれ変わったかのように組織力を取り戻す。本来の戦力では上回るインテルが、主導権を握ったかに思われた。

 その流れを断ち切り、前半終盤にミランに先制点をもたらしたのが、本田からポジションを奪った右ウィングのスソだった。クリスティアン・アンサルディの緩いチェックを突き、左足の一発で均衡を破る。

 後半、ミランはアントニオ・カンドレーヴァの見事なミドルシュートでインテルに追いつかれたが、わずか5分後に再びスソが魅せた。ブラジル代表DFミランダをあざ笑うかのように抜き去り、利き足ではない右足で冷静なシュートを流し込み、2-1と再度勝ち越したのだ。

 それでも、やはりダービーは最後まで何があるか分からない。あきらめずに反撃を続けたインテルは、アディショナルタイムに同点弾を奪う。守護神サミル・ハンダノビッチも攻め上がったCKのチャンス、ジェイソン・ムリージョが落としたところをイヴァン・ペリシッチが押し込み、土壇場で勝ち点1をもぎ取った。

 ミラノ勢が黄金期だったころのダービーと比べれば、クオリティーの低下は否めない。だが、ベルルスコーニのラストダービーで勝利をささげたいミランと、新体制の初陣で結果を残したかったインテル、両チームが気概を見せたことは確かだ。

 残念なことに、本田はそんな熱戦で蚊帳の外にいた。

 チャンピオンズリーグ出場権を目指すミランとインテルの直接対決、ベルルスコーニのラストダービー、ピオリ新監督の初陣と、注目のテーマが少なくなかったダービーだけに、存在感を失っている本田が現地メディアで話題になることがほぼなかったのは当然だろう。

 だが、もはや「ライバル」と言うこともできなくなった感のあるスソに改めて存在感を見せつけられたのは、じつに皮肉だった。そのスソを止めるためにインテル新監督が長友佑都を投入したことも、本田との違いが浮き彫りになる出来事だった。

 いずれにしても、本田はベンチに座ったまま、ダービーを終えた。ベルルスコーニと同じように、本田にとっても、これが「最後のミラノダービー」となるのだろうか。そしてクリスマスまでの1カ月、背番号10はベンチを温め続けるだけで終わるのだろうか。

《文=J:COMサッカー編集部》

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