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16/10/19【週刊 岡崎慎司】自らストロングポイントを捨てているレスター

チェルシー戦ではベンチ外になった岡崎(写真:Getty Images)

攻守のバランスを支えていた岡崎の存在

 レスターがチェルシーに惨敗した。スコアは0−3で終わったが、内容的にはそれ以上の完敗だった。

 クラウディオ・ラニエリ監督の狙いも、この試合でまったく見えなかった。2トップに配したのはFWジェイミー・バーディーとFWアーメド・ムサ。指揮官は「足の速さを使って前線から強くプレッシャーをかけたかった」とセレクションについて説明したが、自陣深くに引きこもっているばかりで、組織的な守備も連動したプレスも、まるで見えなかった。

 すると、イタリア人指揮官は、29分という早い時間帯にバーディーを1トップに据えた4−5−1にシステムチェンジ。それでも内容は一向に改善せず、守備陣のお粗末なディフェンスも手伝い、簡単に3ゴールを許した。昨季のレスターの良さ、つまり、フィールドプレーヤーの全員がハードワークし、前線から積極的にプレスをかけるアグレッシブなサッカーは、最後まで見ることができなかった…。

 強豪のチェルシーが相手なのだから仕方がない、という見方もあるだろう。しかし、8節を終えて14失点、アウェー4戦で全敗という惨状は褒められたものではない。英紙『ガーディアン』のジェームズ・スチュアート記者も、エンジンのかからないレスターに警笛を鳴らし始めているひとり。英テレビ局『スカイ・スポーツ』のサッカー番組で、次のようにコメントした。

「昨季との一番の違いは、ここまで14失点を記録している守備の脆さにある。最終ライン前の防波堤として、ウェズ・モーガンとロベルト・フートのCBを助けたエンゴロ・カンテの退団は大きい。彼は、中盤深い位置からのカウンターアタックでも貢献していた。さらに、補強策も驚きだった。前線の選手ばかりに大金をつぎ込み、CBを補強しなかった。トップクラスのCBが必要だったはずだ」

 さらに同記者は、チェルシー戦で今季2度目のベンチ外を命じられたFW岡崎慎司についても言及した。

「岡崎を起用していないことも、低迷の一因に挙げられる。昨季の得点数はたしかに十分でなかったが、中盤とバーディーをつなぐリンクプレーが非常に重要だった。また、ボールのないところでの動きも秀逸だった。『セントラルMFのカンテとドリンクウォーター』、『2トップのバーディーと岡崎』というように、連携の良さが武器のひとつだったが、どちらも今季に消滅してしまった」

 また、地元紙『レスター・マーキュリー』も、岡崎の不在を嘆いている。同紙のジェームズ・シャープ記者は、「レスターが恋しいのはカンテだけではない。岡崎も、そのひとりだ。日本代表FWは、中盤と前線をつなぐ大事な役割を果たしていた。最前線まで走り、守備を助けるため中盤深くまで下がっていたのだ。チェルシー戦ではバーディーとムサの2トップを採用したが、前線と中盤の2ラインが離れすぎた。チェルシーとしては対応が楽だったはず」と記している。

 献身的な守備で中盤を支え、チャンスと見ればゴール前まで突っ走って好機に絡む──。そんな岡崎がいたからこそ、レスターは攻守のバランスを絶妙なところで保っていた。その証拠に、昨季にゴールを量産したバーディーの怖さは、ここまで半減しているように見える。ここまで2ゴールで、昨季ほどの活躍を見せていない。

 翻って、メンバー外となった岡崎は、レスターのベンチ裏で戦況を見守っていた。試合が終わると選手通路口の前に立ち、引き上げる自軍の選手たちに声をかけていた。「代表戦による長距離移動のため」と、岡崎をベンチ外にした理由をラニエリ監督は明かした。しかし移動に伴う疲労の影響は、レギュラーとして活躍した昨シーズンも経験したこと。今に始まったことではなく、日本代表FWは内心、悔しい思いをしているに違いない。

 それでも唇を噛み、大敗した選手たちを慰めていた。簡単にできることではないだろう。謙虚で真摯な姿勢は「立派」の一言である。

 今季のレスターは、昨季に築き上げたストロングポイントを自らの手で手放しているように思えてならない。原点回帰こそ、今のレスターには必要ではないだろうか。

《取材・文=田嶋コウスケ》

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