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16/05/25【ACL】最後に閉ざされたベスト8の扉。FC東京の“敗因”は尽きない


ATの一撃に沈む(写真:Getty Images)

 

掴みかけていたベスト8
 ボールポゼッションはホームの上海上港が64%でFC東京は36%、シュート数は17本と4本。データは大きな差が付いたが、FC東京は2−1で勝利した1試合目との合計スコアにより、試合終了の3分前までクラブ史上初となるベスト8進出の権利を掴みかけていた。

 敗退寸前まで追い込まれた上海上港のスベン・ゴラン・エリクソン監督は85分に唯一の交替カードを切り、FC東京の陣内に猛攻をかける。しかし、再三に渡る好セーブでチームを救ってきたGK秋元陽太を後ろ支えに全員守備で踏ん張り、後半もアディショナルタイムに差し掛かった。そこでセンターバックのシ・ケーがゴール前にロングボールを入れると、DF吉本一謙がユー・ハイを押さえつけながらヘッドで跳ね返すが、ボールはペナルティーアークに位置していたエウケソンの下に落ちた。

 エースのFWアサモア・ギャンを欠く上海上港で最も危険なストライカーがすかさず右足を振り抜くと、秋元が倒れ込みながら弾き返すも、こぼれ球をウー・レイに押し込まれた。合計スコアは2−2となったが、アウェーゴールの差で上海上港がリード。FC東京の選手たちは最後の反撃に出たものの、森重真人の渾身のシュートもDFのブロックに阻まれた。

 クリアボールがエウケソンのところに跳ばなかったら…。秋元のセーブしたボールがユー・ハイの正面に転がらなければ…。残り3分を何とか守り切っていれば…。たら、れば、は尽きない。しかし、それがサッカーである。最後の最後に勝利を手繰り寄せた上海上港は粘り強い攻撃を継続した結果として決勝点を記録することができた。一方のFC東京は水際で踏ん張りきれなかった。多少の運不運があるにせよ、明暗が分かれる要因は大いにあった。

 


長時間、守ることとなったFC東京(写真:Getty Images)

 

波状攻撃にさらされた守備陣
 第1レグで勝利したものの、アウェーゴールを取られており、上海上港に1点が入ればその時点で勝ち上がりの権利が移動するスリリングな状況だった。そこでゴールを許さない様に集中して守ることはもちろんだが、自分たちがアウェーゴールを取るために、攻撃でも相手に脅威を与えることが求められた。前半10分頃から上海上港が押し込む状態が続いた中で、32分にはクロスボールにエウケソンが合わせたシュートを秋元がスーパーセーブするなど、守備陣は良く耐えたが、上海上港の波状攻撃にさらされてしまった。

 後半も状況はほとんど変わらなかったが、強いて言えば80分に河野広貴を投入した直後には、左サイドのセカンドボールから途中出場のFW阿部拓馬がこの日のFC東京にとって3本目のシュートを放つなど、少し可能性のある攻撃を実行することができた。しかし、終盤に向けてMF羽生直剛を下げセンターバックの丸山祐市を入れる。それは残り時間を守り切れという指令だったことは間違いないが、最後の圧力をかけてきた上海上港に運命のゴールを決められる結果となった。

 上海上港は良質な外国人選手を擁するだけでなく、セリエAなどで豊富な経験を持つエリクソン監督が正確なパスワークを植え付け、中盤で相手を支配する力を持つチームだ。第1レグはホームのアドバンテージもあったが、ハードな守備から鋭い攻撃で上海上港の勢いをそぎ、苦しい時間帯もあったものの、トータルで主導権を握ることができていた。しかし、第2レグは上海上港が前掛かりに来たとはいえ、守る方に意識が向きすぎてしまった部分はあった。

 ただ、そうは言っても最後の最後に失点しての敗退。チームとしても、応援するサポーターとしても現実を受け入れるのは簡単ではないかもしれないが、Jリーグで権利を獲り(すでにACLの出場権を持っていたガンバ大阪が天皇杯を制した結果ではあったが)、プレーオフを勝ち抜き、グループリーグも何とか勝ち抜いて来たチームにしか味わえない悔しさでもある。この経験をどう先につなげていくか。まずは今年のJリーグの戦いにかかっている。

《文=河治良幸》

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