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16/05/17【欧州ピックアップ】南野拓実、イメージ通りのアシストで“チームの一員”としてリーグ優勝を締めくくる

リーグ優勝に貢献した南野(写真:Getty Images)

ほとんどの好機に絡んだ南野

 オーストリア・ブンデスリーガの優勝を決め、ホームのレッドブル・アレーナで迎えた最終節。ザルツブルクはボルフスベルガーに1−0で勝利し、リーグ戦における有終の美を飾った。

 スペクタクルな決勝ゴールをアシストしたのは左サイドで先発したMF南野拓実だった。0-0で迎えた56分、高めの位置でCBのダヨ・ウパメカノがボールを奪うと、素早い動き出しでパスを呼び込んだ南野はMFナビ・ケイタとのワンツーで相手のディフェンスを破り、素早い左足の振りでグラウンダーのクロスをGKとディフェンスラインの合間に入れる。そこに右ウイングから走り込んできたMFバレンティノ・ラザロが体を前に出しながら合わせた。

「ナビー(ケイタ)が近くにいたらけっこういい感じで攻撃できるので、このチームは。距離感は常に大事にしていたし、4番の選手(ウパメカノ)がボールを取って前を見てくれるので、今日もそうでしたけど、そこからいいところで受けられればチャンスになるかなと」

 クロスは仲間に狙って合わせられるほどチームで練習していたというが、欧州のビッグクラブも注目する17歳のCBがボールを持った時にはワンツーからクロスに持ち込む流れがイメージできていたようだ。この日は味方がボールを奪って最初のパスを受けるシーンが多く、そこから縦に持ち出して起点になり、さらにゴール前でボールを引き出すという、南野らしい連続的なプレーが何度も見られた。

 立ち上がりにケイタのパスから鋭い切り返しと仕掛けで左足のショートクロスをゴール前に送り、4−3−3のセンターFWで起用されたペルー人FWジョルディ・レイナの惜しいシュートを演出した。さらに20分には相手を押し込んだ状態から左サイドを突破してマイナスクロスでラザロのダイレクトシュートを促し、その1分後にはカウンターからドリブルで左サイドを持ち上がり、味方のシュートが弾かれたセカンドボールを拾って自らシュート。これは相手DFにブロックされたが、チャンスメークからフィニッシュまで大半のシーンに絡んだ。

「前の試合もスタメンで出て、試合を重ねる方が、キレが上がるなというのは感じたし、出られない中での難しさも今シーズンは感じた」

 そう南野は振り返るが、自身の動きだけでなくチームが前向きにプレーをする中で、良い形でボールが出てきたことが効果的な仕掛けやフィニッシュにつながったようだ。もともと起点になるプレーからすかさず動き出して、フィニッシュに絡む形を得意とするが、ザルツブルクではそうした持ち味をなかなか出せないことが多かったという。

「いつも自分の中では今日ぐらいいいところでボールを受けるイメージはあるんですけど、(思う通りに)ボールが来なかったり。でも今日は立ち上がりからボールが来た。そこからしっかりつないで、またボールが来るというのは意識してやっていることだけど、今日は久しぶりと言ってもいいぐらいそういう形が出たので良かったと思います」

2冠を目指してカップ戦決勝に臨む(写真:Getty Images)

カップファイナルを戦い、U-23日本代表合流へ

 パフォーマンスとしては南野自身も手応えを感じた試合ではあったが、74分にはCKのこぼれ球をファーで拾い、2人のDFをかわして「切り返していい感じで受けて、いいタイミングで打てた」というシュートを放ったが、ゴールのわずか左に外れてしまった。また良い体勢でシュートに持ち込みながらDFのブロックに阻まれる場面もあった。

「惜しいだとダメだと思うので、そこが分かりやすく課題ですし、そこを決めていければもっとパッと見て分かりやすい結果が出せると思います」

 良いときこそ、そうした課題をしっかり頭に入れてさらなる成長につなげようとするのが南野の良さでもある。気がかりなのは共にリオ五輪の代表を目指すU-23のケガ人が多発していることだ。「一緒に戦うメンバーとしては個人的にはすごく残念なニュース」と険しい表情を見せたが、自分は自分として前向きにプレーするのが南野の流儀だ。

「でも僕はあんまり考えないようにしているというか、今まであんまりケガする選手ではなかったので。今日も久保君のニュース(負傷によりトゥーロン国際大会の欠場が決まった)を見てから試合に入る感じになったんですけど、そこは切り替えて自分がやることに集中してやっています」

 そのトゥーロン国際大会に参加する前に今季の最終戦であるオーストリア・カップの決勝が控える南野は「(トゥーロンのことを考えるのは)カップ戦でもう1回存在感と結果を出してから」と語る。今季をリーグ戦とカップ戦の二冠という最高の形で締めくくれば、リオ五輪、さらには欧州レベルでの活躍も期待される来季に良い流れとなるはず。

 ただ、この日はリーグ優勝を素直に喜んだ南野。「(試合後に振る舞われたビールは)樽がでかすぎて泡だけしか飲んでいない。でも美味しいですね」と笑顔で振り返り、しっかりチームの一員として優勝の瞬間を味わったことを印象付けた。

《文=河治良幸》

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