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16/01/13【リーガ・注目選手】117億円の男ベイル、ついに覚醒か


充実のシーズンを過ごすベイル(写真=Getty Images)

3シーズン目の覚醒

 フロレンティーノ・ペレス会長が2年半前に約117億円を費やして獲得した男がついに目覚めたのか? FWネイマールがFWリオネル・メッシの後継者となったように、15-16シーズンはFWガレス・ベイルが“未来のC・ロナウド”として名乗りを挙げた年として記憶されるのかも知れない。

 リーガ前半戦を終了してのゴール数は12。過去2年の3、7とは比べ物にならないものだが、それでも「目覚めたのか?」と疑問符が付くのは、ベイルが少し前まで極端な不振に苦しんでいたからだ。8月29日リーガ第2節ベティス戦で2ゴールを挙げ幸先の良いスタートを切ったものの、その後は11月29日第13節エイバル戦まで音沙汰なし。何と3カ月間もノーゴールだったのだ。それがエイバル戦で目覚めた後は7試合で10ゴール、特に直近の4試合は8ゴールの爆発である。

 その良い流れがジネディーヌ・ジダン新監督になって途切れないか心配していた。ベイルはラファエル・ベニテス前監督に最も可愛がられた選手の一人で、右サイドオンリーだった彼を左サイドやトップ下でプレーさせたのも、ベニテスだったからだ。しかし、ジダンの初陣、第19節デポルティーボ戦でもハットトリック。新監督の采配下、一変したチームの中でも際立って生き生きとプレーし、交代時にサンティアゴベルナベウのお客さんにスタンディングオベーションで迎えられた姿を見て、新年最も注目すべき選手であると確信した。

 


ジダン監督の初陣でハットトリックの大活躍(写真=Getty Images)

新監督ジダンが引き出すベイルの能力
 ベイルの好調はジダンによってさらに加速する可能性がある。ジダンがベイルにベニテス時代以上の自由を与えられているからだ。デポルティーボ戦を4-3-3の右サイドでスタートした彼が、真ん中と左サイドでもプレーするまでに10分もかからなかった。22分のベイルの先制ゴールは、ベイル、FWカリム・ベンゼマ、ロナウドが目まぐるしくポジションをチェンジして6通りすべての並びを経験した後に、挙げられたものだ。加えて、ジダンのサッカーはベニテスのそれよりも組み立てを重視しているのも、ベイルにとっては朗報だろう。2列目左サイドのMFイスコはドリブルとパス交換をしながら時にはトップ下の位置でプレーし、MFルカ・モドリッチやMFトニ・クロースもボールを触りながら前進する。前線3人も崩しに参加するようになったことで、裏へ出されるロングボールを3人で待つ、というスタイルではなくなった。

 裏への一発でGKと1対1、というやり方は効率的ではあったが、小技ではなくスピードで勝負するベイルにはスペースがないため不利であり、ロナウド、ベンゼマとシュートチャンスを奪い合う格好になっていた。ベイルの強引なシュートに横で待っていたロナウドが顔をしかめる、というシーンがしばしば見られたのだ。それがジダンのやり方なら、3人のうち誰かが組み立てに参加し残り2人がフィニッシュする、という役割分担が自然に生まれる。ベイルのアシストでロナウドがゴール、あるいはその逆のパターンも増加するだろうから、不仲の噂があったベイルとロナウドの仲は修復するだろうし協力し合うことで互いがより一層輝くことは間違いない。

 

チームのためになるプレーも増えた(写真=Getty Images)

貢献度も格段にアップ

 守備への意識も変わったようだ。ジダンの下でコンパクトになり相手ボールをアグレッシブに追うようになったチームの中で、ベイルも守りに積極的に参加した。DFダニエル・カルバハルのケガの治療中には右SBにポジションを下げもした。ベニテス監督にSBをしろと命じられた際には「えっ、俺なの?」という表情をしていた同じ男とは思えない。前線3人の中で最も守備の負担が重いのはベイルであり、それが自陣深い位置からのカウンターの起点となることを可能にしている。ボールを奪ってからの高速ドリブルや大きくて正確なサイドチェンジという見せ場は、これからさらに増えるだろう。左右両足から繰り出されるピンポイントのパスやセンタリングで積み上げたアシストは7。これはリーガ最多でネイマールやC・ロナウドと肩を並べる数字である。

 アスリートとしてはもともと類まれな資質を持っていた。逆三角形の均整の取れた体格、スピード、ジャンプ力。ゴール量産中も高い打点からのヘディングシュートが目立っており、12ゴールのうち6ゴールは頭によるもの。デポルティーボ戦の1点目でのバックステップをしながらシュート、バレンシア戦でのゴールに背を向けた態勢からからのシュートでは、体幹の強靭さを見せつけた。過去2シーズン自らの才能だけを頼りに単独でプレーしてきた男が、守りやアシストでの貢献でチームの一員として認められ、C・ロナウドにも一目置かれる存在なろうとしている。底知れぬ才能が大輪の花を咲かせる準備は整った、と言える。

《文=木村浩嗣》

スペイン・リーガエスパニョーラ週末の生放送予定

・ビジャレアル vs ベティス(実況:山田泰三)
 1月17日(日) 朝4:20〜朝6:40(生中継 WOWOWライブ
・R・マドリード vs スポルティング・ヒホン
 1月17日(日) 夜11:50〜深夜2:10(生中継 WOWOWライブ
・ラス・パルマス vs A・マドリード
 1月17日(日) 深夜2:05〜朝4:20(生中継 WOWOWライブ
・バルセロナ vs A・ビルバオ
 1月18日(月) 朝4:20〜朝6:40(生中継 WOWOWライブ

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