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15/11/25【週刊 長友佑都】サイドアタッカー封じの一番手に


首位攻防戦をにらんでの途中交代(写真:Getty Images)

 今後に向けての早期交代
 フロジノーネ戦の60分、55アウト23イン。日本代表の2試合から戻るや右サイドバックとして先発していたDF長友佑都は、DFアンドレア・ラノッキアとの交代が表示されるやすぐピッチ脇に出た。そして、外周をゆっくりと歩いてベンチに戻ってきた。その間の”愛されぶり”はなかなかのものだった。2点を先行し機嫌が良かったのもあると思うが、スタンドの観客は長友が前を通れば拍手と歓声を送り、交代出場に備えアップをしているチームメイトにはもみくちゃにされた。

 前日の記者会見ではロベルト・マンチーニ監督が長友のスタメン出場を明言していた。フロジノーネのロベルト・ステッローネ監督が全メンバーを予告したのに対し、「戻ってきた代表選手のコンディションの問題があるので全員は無理だが、4人だけなら」という形で呼応した中に長友が数えられていたのだ。選手にはあくまでミーティングで通知されるので「全く知らずに『出るのかな?』っていう感じだったんですが」と長友は話していたが、マンチーニには重要な戦力の一人として数えられている。チームメイトからはもちろんファンからも愛され、そして指揮官の信頼も再び勝ち取る。こういう環境の中でのびのびと全力疾走する姿が、やはり彼にはよく似合う。プレシーズンの戦力外状態から、本当によくここまで評価を戻してきたものだ。

 もっとも、交代を命じられた選手がセンターラインまでのジョグを避けすぐにピッチ脇へ出るのは、時間を無駄したくない時か自らの体に異状があった時である。これまでも、代表ウイーク後に長友が故障を訴えたことは少なくなかった。ケガではなかったのかと聞いたところ「ケガではないが前半のうちから左のもも裏に張りがあった」ということだ。それを聞いた監督以下スタッフは、長友の早めの交代を準備していた。本人によれば大丈夫とのことだが、今後に響かないようしっかりコンディションを戻してもらいたいものである。


先発の座を取り戻した(写真:Getty Images)

定着している「攻撃の人」のイメージ
 さて試合のことに触れよう。ローマ戦、トリノ戦での左サイドから、今度は右にシフトされたが、そこにはフロジノーネの戦術のキーマンであるMFダニーロ・ソッディーモがいた。サンプドリアの下部組織出身のテクニシャンで、遅咲きではあるが昨季は主力としてフロジノーネの昇格に貢献。サイドから個人技を駆使し、果敢にチャンスメイクを仕掛ける彼を封じるということが今回のタスクになっていた。今のところ指揮官は、サイドアタッカー封じの一番手として長友に信頼を置いている。「相手の10番は起点になるとミーティングで言われていた。監督に言われたわけではないが、監督が僕を右サイドにした理由は、そういうところにあったんじゃないかなと思います」と、長友本人も薄々意識をしていたようだ。

 その割には攻撃の際には果敢に前に行き、結構な頻度でMFジョナタン・ビアビアニーを追い越していたような気もするが、前半の最初のうちは少々ピンチも招いていた。ドリブルで中へと仕掛けるつもりで絞れば、外にパスを出される。そして何より、相手の右クロスを目で追った隙にソッディーモに視野を外され、まんまとシュートを打たれる。形はやや違うが、カルピ戦での失点シーンを思い出した。縦に仕掛ける意識がはっきりとした相手に対し、マッチアップに集中した時の長友の守備が素晴らしいことはローマ戦、トリノ戦が証明している。ただトリッキーに裏をかくタイプの相手には若干隙もつくり、フッと集中の抜けた時にダメージを受けるのはこれまでも度々あったこと。守備への信頼を強固なものにするのなら、こういった部分の向上が不可欠だろう。

「それにしても両翼が”攻撃的”な布陣というのはどうなんだ。そして長友は右より左のほうが得意なんじゃないのか」と、スタンドでは隣席の地元記者に意見を求められた。走力でサイドを封じるためなら左右関係なく使われ、FWジェルビーニョにMFモハメド・サラーにMFブルーノ・ペレスを止めても、長友はまだ守備よりも攻撃の人と認識されている。

 フラジノーネ戦を4-0で制したインテルは、次節で2位のナポリと対戦する。首位攻防戦では、首位チームの主力らしい安定感でレッテルを剥がして欲しいものである。

《文=神尾光臣》

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